二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

二者択一は趣味じゃないんだ

INDEX|1ページ/5ページ|

次のページ
 
*





勝利か、敗北か。
成功か、失敗か。
――幸か、不幸か。

どちらがいいか選ばせてやる、なんて二択は問うだけ無意味だ。
自分にとって有益だとわかっているものを敢えて捨てる。人はそれを愚か者と呼ぶ。

もしくは、ただの酔狂か。







「お前のクーヘンが食いたい」
「…だから作れ、と?」


静かに雨の降りしきる、とある休日の午後。
洗濯も出来なければ庭の手入れも出来ないから、掃除を初めとする家事を終えたら特にすることもない。
昼食と片付けを終えてしまえば手持ち無沙汰であり、ならば久しぶりにゆっくり読書でも、と本を手に取ったところだった。

ソファーに身を沈めてだらしなく足を投げ出し、腹の上に新聞を載せたはいいが読む気配のない兄を見やる。
あちこち跳ねた硬質そうな、けれどその実触れると柔らかな銀色の髪が目についた。櫛くらい通せと言ったのにぼさぼさのままじゃないか。
妙なところで生真面目なのは自分と同じはずなのだが…彼は細かいことにはあまり頓着しない傾向にある。
以前そう言ったらお前が気にしすぎなんだ、と笑われたけれど決してそういう問題ではない。と、思う。

「さっすが俺様のヴェスト、わかってるじゃねぇか」
「…どうせ、答えはJaしか認めないんだろう」
軽く溜息付いて立ち上がり、先ほど外したばかりのエプロンに手を掛ける。いつの間にかソファーから身を起こしていた兄は満足げに笑った。

自分は大概、彼には甘い。