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狂い咲き 弐

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「ホントにいいのかよ?」
車の窓を開け、風に当たる耀に話しかける。
「……」
…無視か。
「菊のことは後悔してねぇある。」
「…そっか。」
その横顔は無表情だった。
「様子はどんな感じだったんだ?」
「あいつ、再起不能になるある。」
「えっ……?」


景色が流れていく。
アーサーの質問に答えながら、ずっと外を見ていた。
―――こんにちは。日の落ちる処の中国さん。
出会いがあれば、別れがある。
いつかそんなときが来るなんてわかってた。
伊達に四千年生きてる訳じゃない。

でも、「あのとき」は認められなかった。

仮にも菊の兄ならば悪足掻きせず、あいつを認めてあげればよかったんじゃないか?

でも、今は認めている。
菊はもう我の弟ではないと……と。

これが「あれ」なのか―――?

違う! 違う!
「あれ」は我が望んだ別れじゃない!!!

「別れ…じゃない……!!」

頬に一筋の涙が伝った。


「耀さんとアーサーさんが?」
「うん、耀君があっち側につくなんてホント意外だよ。」
あの人が…まさか―――!

アーサーさんはアルさん側の方…
つまり耀さんがアーサーさんについたということは…

私を裏切った―――!?

信じられない。
あの目は嘘をついていないはずだった。
それなのに…!

「あぁ………」

すべての思考が麻痺する。
どうして…どうして…

「耀さん…!!」

もう私は独り―――?

大きな手が頬に触れる。

「大丈夫…僕がいるよ。」


「イヴァンさんは……」
小さな口が開いた。
「何?」
「イヴァンさんは…私のそばにいてくれますか?」
そう問う君の漆黒の瞳に、光や僕の顔は…映っていない。

―――闇しか映さない瞳…

「当たり前だよ。」
作品名:狂い咲き 弐 作家名:狼華