狂い咲き 弐
(バシっ!)
十字架の墓に向日葵を叩きつける。
―――イヴァンの墓だ。
「お前は、ロシアではなく…イヴァンとして死んだあるか…」
国として、ではなく個人として死ぬと
また新しい体現者が現れる。
我は運良く四千年も国をやってこれたが
個人で死に新しい体現者にバトンタッチする奴も少なくない。
「イヴァンは…菊の居場所がわかるあるか?」
現場に落ちていた右手…。
菊のことだから、
―――イヴァンさんを殺した手なんていりません。
とでも考えて切り落としたのだろう。
菊は…いない。
イヴァンを殺したあと逃げたらしい。
でも我はそう思っていない。
―――桜の花になってしまった…
非現実的な考え方だが本当にそう思っている。
あいつは狂い咲いたんだろう。
「きっとお前は言うあるな。
どうして泣かないの?って。」
寒空の下、呟いた。
「泣いてたら前に進めないあるよ。」
―――そう、前に進まなければ…