Call my name サンプル
待って、一緒に来たということは、ずっと見てたんだよな。嘘だろ。
雨竜にしか分からない理由はその顔をたちまち真っ赤にし、腰は抜け尻餅をついたついでに流し台の下に頭をぶつけた。
「石田 どうした大丈夫か」
「……大丈夫なような…そうでないような…イタタ」
ぶつけた辺りを擦りつつ、雨竜の様に驚いて茶度の影に隠れた女の子をもう一度よく見ようとした。顔立ちも良いと思うし、着ている物も品の良いものだ。上の方の中流家庭の一人娘ってとこか、そう思って彼女と目が合った途端、馴染みのある違和感を持った。
「どこか悪くしたのか?」
いつまでも立とうとしない雨竜に、茶度が手を伸べた。
「君…」
なんだ?と問うように首を傾ける茶度の姿は、いつもと変わりはない。
2006.03.16
作品名:Call my name サンプル 作家名:gen