鬼道くんと大介さん
***
「えっ、これは……王冠?」
「豪炎寺ぃ……鬼道、大丈夫かな……」
「……俺も心配だ」
「こんな様子のおかしい鬼道さんなんて初めて見たッス~」
「俺もでヤンス」
「キャプテン、保健室の先生に声掛けてきます!」
「ああ、頼む音無。……なるべく早く」
「ほら、皆さっさとしろ! 練習再開するぞ!」
呆然としている部員をよそに、鬼道は大きく叫んだ。
「部活終わりまで時間は少ししかないんだから早く切り替えろ!」
部活動を途切れさせる要因は自分自身であることを知らないかのように畳み掛ける鬼道の言葉は、よく通り、グラウンドによく響いた。
赤く染まった西の空を、からすの黒い影が二羽分、ツイと飛んでいった。
若干冷たそうに鳴いたからすの声は、やけに大きく響いたような、そんな気がした。
了
(あとがき的なもの→)