待ちぼうけバンパイア
「あれ?帝人くん何不思議そうな顔してるの?」
僕の表情を読み取った臨也さんはとても機嫌良く笑った。
「俺、最初に言ったでしょ?『お菓子も悪戯もどっちもあげよう』って。」
ばっと、身を翻してドアから逃げようとした僕の腰に素早く臨也さんの腕が回される。
「あれー、逃げちゃ駄目だよ。せっかくお菓子も悪戯するための道具もいーっぱい持ってきたんだから、帝人くんのために。」
ぎゅっと引き寄せられ耳元でそう囁かれた。
力強くは見えない臨也さんの細腕、腰にまわされたそれはどんなに僕が暴れても緩まない。
「ホラホラ、見て。」
どんっと、片腕で僕を抱いたままもう片方の腕で僕の目の前に白い袋を置く。
異様な形に歪んだその袋は僕に恐怖しか与えない。
「この中身はねぇ、お菓子等その他もろもろ帝人くんを喜ばすモノが入ってまーす。」
『その他もろもろ』ってなんだ?
知りたくも無いけど!!
ペロリと首筋を舐められて、震えた僕に臨也さんはクスリと笑った。
「安心して、血は吸ったりしないよ。
けど、別なものは一滴残らず搾り取るから。」
Happy Halloween?(だから、もう一日過ぎてるって)
作品名:待ちぼうけバンパイア 作家名:阿古屋珠