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僕の甘い痛みの話【歪アリパラレル】

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帝人は、それはそれは恐ろしいことが自分に起きているのではないだろうかとは 薄々感づいていた。親友である正臣との勉強中、ふと意識が遠のいたと思えば正臣の姿はなく、すらりとしたバーテン服の男がサングラス越しに帝人へ 白ウサギ を探せと繰り返す。白ウサギ、というものに心当たりがなく、男の元から逃げだせたかと思えば、正体不明のパン―――精巧にも程があるとわめきたくなるほどリアルな指の形をしていた―――を無理やりに食べさせられ、身体が縮んだ。
(ひにちじょうだ)
白ウサギを追いかけろ、ぶっきらぼうにそれだけを繰り返す男、静雄と名乗ったその男に流れで従うことになった帝人は、ゆっくりとした速度で歩く彼の肩にちんまりと座れるサイズにまで小さくなってしまった自分に溜め息を落とした。
「帝人、どうかしたのか?」
「…小さくなってしまって、これからどうしようかと」
静雄はマイペース極まりない話し方で、自分の疑問に答えてくれたことは無い。帝人は静雄が、自分が元のサイズに戻ることのできる方法など教えてくれるはずはないと思い込み、たんに独り言のつもりで呟いたのである。静雄は瞬きを行い、くるりと自分の肩にのっている帝人を摘まみあげ、自分の掌の上に置いた。力が強いらしい彼につままれた服が無作法に破れかけたが、なんとか耐えたことに感動を覚えつつも、帝人はじっと静雄を見つめた。サングラスに隠れて全体的な顔のつくりはおぼろげにしか把握できないが、存外整った顔立ちをしているように思える。静雄は どうしようか とイントネーションが少し可笑しい、まるで異国の言葉を聞いたように呟き、首を傾げた。
「大きくなりたいのか?」
「…!は、はい!元のサイズに戻りたいんです!」
初めて静雄と会話が通じた喜びで、帝人は声を張り上げ、こくこくと頷いた。静雄は もどりたい と再びあやふやなイントネーションで呟き、こくりと頷いて歩きはじめる。掌にのせられたままの帝人は思わず静雄の中指を掴み、怯えたように静雄へ声を上げた。静雄はきょとんとした様子で帝人を見つめ、首を傾げる。
「どうした、帝人」
「…あ あの どこに 」
いくんですか そう問いかけたかった帝人へ首を傾げたまま、静雄はにこりと笑みを浮かべる。深い色をしたサングラスに隠されて見えない目が笑っているのか分からないため、帝人にとって静雄の笑みは対して心休まる結果を生みはしなかった。
「小さくなるのはジャムパン、大きくなるのはあんぱん」
帝人はやわいから奴らの喧嘩には巻き込まれるなよ。 静雄が淡々と呟いた言葉に、帝人はきょとんと首を傾げた。