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ろろろまんす【ゾロサン】

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「ああ。だから、それにかわるものをもらう」

「そこにいる板前に」

 店中(とはいえ本人とゾロを除く3名のみ)の目線がサンジへと集まる。
 すっかり怯えきった様子の板前は店の隅に身体をくっつけてできるだけ距離をとりたがっているようだ。
(悪霊退散ってどうやればいいんだっけ…!)
「悪霊退散なんてできねぇのは分かってるだろ」
「な、なんで俺の思ってることが…!」
「口が動いてる」
「あ」
 ゾロはサンジにじりじりと近寄る。
 口を塞いだ片手を、ぐいとつかむ。
 ずいと顔と顔を合わせる形にする。


「いただくぜ」

「……〜っ!!」



「あら、そういうことなの…」
「生ちゅーだ〜」
「ひええ、何時の間にこんなことに…」



「…あ。角度が変わったわよ」
「すっげ〜。舌も入ってるよな」
「そりゃあそうだろ親分」



「生臭坊主の手の位置がちょっとアレよね」
「なんでさわさわしてんだ?」
「…親分、いつまでもそのままでいてくれ」



「うわあ……」
「ずいぶん水っぽい音だなあ〜」
「もうそろそろ終わるんじゃねぇ?」




「……」
「飽きた…」
「どうなってんだあいつら…」




 ようやく終わった頃には、風車の外は何事かと覗く観客で一杯になっていた。拍手までおこったくらいだ。
 だがそれも気付くことなく、二人は彼らだけの世界を作っていた。

「っはあ、はあ……」
「馳走になった」
「クソッ、てめぇ…!」

「うまかったぜ」
「!!」

 真っ赤になった板前の顔は、ろまんすの始まりを予感させたのだった。