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ろろろまんす【ゾロサン】

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 ここ数日いろんな人が心配してくれているのだが、とてもじゃないが言えない。

 自分の初・接・吻が男に奪われてしまったなんて。

 そう、ゾロは去り際にちゃっかりサンジの唇を掠め取っていったのだ。
 ショックのあまり呆然と突っ立って、気付いたときにはすでに生臭坊主はそこにはおらず。冷たい風が吹くばかり。
 わめこうにも、聞いてくれる人もいないので、その日家に帰って膝を抱えて寝てしまったくらいだ。
 サンジは、色恋に長けているようでいておそろしく奥手。
 そもそもフラれつづけている理由が、その紳士過ぎる態度に女性が焦れてしまうからだったりする。意外と純情なのである。
 そんな彼がこの歳までチャンスを逃していた初接吻に夢を見ていてもバチはあたらないだろう。
 おかげであの接吻は、もう、すごい衝撃だったのだ。
(当分立ち直れねぇ…当分あいつに会いたくねぇ…)
 なんて考えてしまうくらい。

「んで、ウソップ、どうしたんだよ」
ルフィがようやくメシを飲み込んで問う。
「ああそうだ!親分、大変だ!」
「そりゃ聞いたって」
「ゾロが、ドデカイいのしし担いで街中歩いてるんだって!!」

ずるっ

「きゃあ!サンジくん、どうしたの!?」
「…大丈夫、ナミさん、ちょっと立ちくらみが…」

(ま、まだここにもってくるって決まったわけじゃないだろ!?別の店に持っていくのかもしれないし!)

「へえ!そりゃすっげぇな!」
「この店の方向に向かってるから見れるぜ〜」

ずるずるっ ごちん

「ちょっ、サンジくん!」
「あははは…」

(いいや、進行方向がこっちなだけであって…)

「おっ、親分、風車の前にいのししが…」
「うひょーっ!あれが噂のドデカイいのししかー!!」

どんがらがっしゃーん

「……サンジくん…」
「…終わりだ…」

あいつが来た……!



「邪魔するぜ」
「「「ゾロー!」」」
 外にいのししを置いてきたゾロが悠々と店に入ってくる。
 僅かな血臭がするが、それはどう考えてもいのししのものだった。
「あのいのししを渡しに来た」
「え!風車にくれるの!?」
「おう。この前もやっただろ?」
 ナミはサンジがどこぞから仕入れた猪肉の出元を知らなかったため、目を白黒させる。
「そりゃありがたいけど…うちにはこんな大物に払えるお金なんてないわよ?」