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三尺秋水(パロ)

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久々に師匠から便りが来た。
アタシが余りにも連絡しなかったからだろう。
しかも、便りとは手紙ではなく、彼の部下から言伝を聞いたのだ。
『いい加減に顔を出しなさい!』と。
いつもだらし無く着付けている着物をしっかりと着て、長い髪は一つにまとめ、アタシは置き手紙に『葵、ちょいと数日留守をよろしく頼みます。』と書いて店を出た。

久々に師匠が拠点にしている町に来たが、相も変わらず人が多いこと。
人々に圧倒されながらも、師匠の家を訪ねれば、こちらも久しく見ていなかった彼の秘書が冷たくアタシを出迎えてくれた。
「久しぶりね。仕事の報告で生きているのは知っていたけれど、何?ついにあいつに呼び出されたの?」
「お久しぶりです。えぇ、さすがに半年も仕事以外の連絡をしなかったのはまずかったようで。」
師匠は野暮用で出掛けているらしく、応接室に通されると、しばらく待つように言われた。
最近新しい弟子をとったようだし、その関係なのかもしれない。聞けば教えてくれるだろうが、今師匠が何をしていようと別段興味もないので、大人しく座ったままでいることにした。
この町に来るのに二日かかってしまった。
事情を知っている葵は別として、さっさと帰らなければ佐藤殿が煩そうだ。
「やぁ。」
ガラリと扉を開けて入って来た師匠は、相変わらず嫌な笑みを浮かべて立っていた。
この分なら知り合いの佐藤殿に少しにている彼との喧嘩も変わらず行われているに違いない。
「お久しぶりです。」
アタシはにこりとしてから師匠と握手を交わした。


「只今帰りました。」
一週間ぶりのわが家に帰ってくると、そこには忙しそうにしている三人がいた。
「やっと帰ってきたか。」
やや呆れ気味の表情で迎えてくれたのは佐藤殿で、あとの二人は何やら話し込んでいる。
「どうかしたんです?」
聞けば、また事件が起きたそうで、種島担当の情報屋見習の葵は一生懸命なのだそうだ。
邪魔するのも悪いな…と思い、留守の間に入って来た情報に目を通し始める。
佐藤殿は暇潰しに持ってきたからくりを調整している。
やはりこの町が一番だとアタシは思った。



師匠が誰か、バレバレである。
この話の二人はこんなかんじでグダグダし続けそうだなぁ…。
このシリーズは結構自由にやっちゃってるんで、好きですね。
くっつかずにこんな友達関係がちょうどいい、このパロの二人です。
作品名:三尺秋水(パロ) 作家名:谷尋悠