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その感情の名前

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もうやめようと思いつつも直らない癖がある。
 ササライを見付けてから話し掛けるまでのタイムラグだ。
 ナッシュがササライの部下であることは二人の間での契約であって、他の人間の知るところではないから、ナッシュが個人的にササライに近づく場合は彼の周囲に誰も居ないことを確認してから、驚かさないよう前に回りこんで彼が自分に気付くタイミングで話し掛ける。
 しかしササライを視界に入れてから気配を消して彼の周囲———というより彼自身を観察してしまう癖がいつまで経っても抜けない。よって生まれるタイムラグ。
 実のところササライがナッシュの顔を見たのはここ数年のことで、レナに頼まれササライには顔を晒さずに護衛していた期間が長かった。
 当時、誰かもそう言っていたようにナッシュ自身もササライを温室育ちの人形のように思っていて、ササライと言う人間を見極めようと彼の行動を観察することで彼の意図、真意、思考を探ろうとしていた。おかげでササライを知るに至った今はより彼を信頼しているのだが。
 ただ今も観察してしまうのは覗きみたいであまり良いことではない気がする。しかし見ているだけと、話せるほど近くに行くのとではあまりにも大きな変化でその距離を縮めるのに一つの勇気を要した。
 それが何故なのか気づきながらも考えないようにしていた。自分以上にあの人にとって良いこととは思えないからだ。

 自室に戻ってきたササライを窓の外からナッシュはぼんやりと見つめていた。遠征から戻ってササライを見ると帰ってきたという実感がわく。今夜は自宅に帰って明朝報告に来よう。
 だが、ササライの行動にナッシュは考えを改めた。






作品名:その感情の名前 作家名:たつみ