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境目@変態EX
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{ユーモレスク}脱毛の話

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「ぜってー嫌、だ!!!」
サロン中に響き渡るほどの大声で、ギルベルトは吠えた。
身体を抑えているアシスタントが女性でなければ、ギルベルトは今すぐに大暴れしてサロンから半裸のまま出ていくに違いない。
もっとも、それがわかっているからこそ彼をここに連れてきた張本人は「わざわざ」女性アシスタントを選んだのだから。
「くっそ・・・離せよ!俺はぜってーやんねえ!どう考えても・・・」
「はいはーいギルちゃん落ち着いてねー。ダイジョーブだよ慣れれば快適快適!」
「るっせー髭!テメーは黙ってろバーカ!」
「うわーそれ小学生みたい」
手を伸ばしても掴まれないぎりぎりの場所に立ち、フランシスは人の悪い笑みで張り付け状態のギルベルトを見下ろす。
非常に良い眺めだ。面白い。
(まあ俺も一度は通った道なんだけどさ)
といっても、フランシスがこの「通過儀礼」を受けたのはこの道に入ってすぐの、少年期から青年期へと移行するくらいであったので、ギルベルトがしきりに訴える
「男のプライド」というものも大して意識せずに済んだのだが。
尖った犬歯をむき出して、今にもグルルと喉をならしそうな勢いのフランシスの同僚は、もう立派な青年。大人である。
当然すね毛も腕毛も薄からず生えているのだ。
「さあギルベルトさん、キレイにしましょうね〜」
「このドグサレカマ野郎ふざっけんなよ!今すぐこのアマ共にやめさせろ!」
「おおこわやこわや、ドグサレカマ野郎なんて言われたのは久々ですよ」
くすくすと本当に楽しそうに笑うのは、フランシスとギルベルトが働く店のオーナーである。
名を本田という年齢不詳のアジア人は聞くに堪えないギルベルトの罵詈雑言にも面白そうに黒い瞳を半月に歪めて見せるだけ。
フランシスはその様子を見ながら、はは、とため息と笑いのまじった声を漏らした。
(ギルちゃんが本気で嫌がってるのが楽しいんだろうなあ菊ちゃんオーナーってば・・・「趣味がいい」んだから)
フランシスが入店してから3カ月たつ。フランシスよりも先に入店していたギルベルトと本田の関係がどういったものかはフランシスにはまだ計り知れない。
しかし二人が「店」を抜きにしても対等であることは、この数カ月で理解できた事だ。
(というよりも)
この二人が特別に対等というわけではない。ギルベルトが、誰に対しても「対等」なのだ。