二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

another world

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 
諦めきれないから、もう一度だけいいかな。はい、と泣きそうな綺麗なひとに真っ直ぐに返事をした。
記憶は再度一緒に積み重ねましょうか。今度は更に、奥深い処へと。
例え再度何処かに消失してしまったとして、由縁すらなくて欠落した世界に居たとしても。また、気を留める存在となりますように。実際の処、一回は証明済みであるのだからきっと大丈夫ですよ、僕の恋人の、臨也さん。


されど呆気なくも数週間のち、記憶が回復した。それからが大変だった。失っていた静かな日々の音を凝縮したようで、対処しようがなく受け止めるので精一杯。
降り止まずに街を水没させてしまいそうな、臨也さんの涙とか、涙とか。
綺麗なひとの涙は、一般とは含む成分が異なっていそうだなあと漠然に思いながら、安堵に暮れて止め処を見失った涙に仮宿を提供する。すぐに降り止む様子は見えないけれども、頬に伝い落ちる雫の温度は臨也さんが居る場合の、此方の世界占有のものである。

違和感のある、大切なものが抜け落ちた世界に一人佇む時はいつも、愛を無言で語る愛撫が、臨也さんが、ひどく恋しかった。

久方ぶりに、あなたの体温と僕の体温を交換しませんか。
喜んで。

僕が記憶を抱えていなくとも、何処かしらには刻んであるから。意識が落ちる前後にくれる眼差しは、真剣な告白されているようで、中々返事が出来なくて申し訳ないと思うことがある。懲りずに繰り返してしまうので、もう少し手前で伝えて欲しくもあるといった贅沢な感想を抱いたりもする。
そしてまた、不恰好な僕らなら大丈夫だと盲信し続けていて。仮に何度リセットしてしまったとしても、ふらついた歩みであっても、この世界でなら。
作品名:another world 作家名:じゃく