にょにょにょー!!
目覚めて帝人は自分の体に違和感を感じた。
微妙な倦怠感。
こういう目覚めは珍しい。
昨日遅く寝ただろうか。
記憶が曖昧だ。
「んー?」
肩や首を回してみる。
やはり違和感。
立ち上がればバランスが崩れて転倒する。
「え」
視界に入る爪に見慣れないもの。
窓からはいる太陽光を照り返し輝く桜貝。
小さな爪に薄くナチュラルにつけられたマニキュア。
正臣のいたずらかと疑う気持ちと同時に違和感が倍増する。
こんなに自分の手は、指は、爪は小さかっただろうか。
細く肉付きのない軽い手。
しげしげと帝人は自分の手を見る。
手首に視線を向けて骨格がどこかおかしい気がした。
立ち上がる前にもう一度自分に視線を向ける。
転んで投げ出された足。やはり記憶と差異がある。
視線を腿まであげてぎょっとする。
肉付きのいい腿と同時に胸元が目にはいった。
見たことはあるが自分から手を伸ばしたことのないソレ。
男では持ち得ない膨らみ。
手のひらで包めば少しだけあふれるやわらかさ。
(どうして、なんで、なにがどうなって)
手が下腹部へ伸びて愕然とする。
(何これ何これ)
あるだろうと思った場所に大切なものがない。
帝人の狂乱を断ち切るように玄関のチャイムが鳴る。
ゴンゴン叩かれ「帝人? みーかーどー?」と聞き知った声。違和感を覚えないでもなかったが帝人は藁にでもすがる思いで扉を開ける。
「お? って、まだ着替えてねぇのか。昨日渡した奴でいいだろ。まだ慣れないのか?」
正臣は仕方がないとでも言いたげに帝人の家には行ってくる。
ブーツを脱ぐ正臣を見ながら違和感が強まる。
正臣に似合うのだが、ああいったデザインは女性向けというか女の人しか履かないのではと帝人が目を見開けば全体的な服もまた違う。
ボーイッシュでラフスタイルな短パンではあるが女性の衣服。というよりも骨格からして男には見えない。
帝人と似たような身長だったが正臣はここまで細くない。
固まっている帝人をおいて正臣は部屋の隅の包みを手にとり開ける。
「一応は着てみたのか? 変じゃなかっただろ」
白いレースのワンピースを広げる。
(少女趣味)
少しうんざりした顔になる帝人に正臣は慣れたように下着を投げる。
受け取りながら帝人の口から「あ、ああ」と言葉にならない音が漏れる。
「自分のなんだから赤くなんなよ」
呆れたように笑われて何がなんだか分からなくなる。
(どうして正臣は普通に受け止めてるの?)
泣きそうになりながら帝人が正臣を見れば「仕方がないなあ」と笑われる。
近づく正臣に戸惑いの目を向ければ職人芸としか思えない自然な仕草で裸に剥かれる。
声も出せずに驚いていると「そっち向く」と体の向きを変えられ女性ものの下着を胸につけられる。見えてしまった下の方もやはり女性向けのレースの下着をつけている。
自分はどうしてしまったのかと思うと同時に正臣だってどうしてこんなことになっているのだろうか。
「微乳というか美乳というか、ちょうどよく手の内に収まるベストサイズというか」
後ろのホックを止めたあと改めて正臣が帝人の胸に触ってくる。じゃれつくようにふにふにと。
「ちょ、ちょっと、やめてよぉお」
「そういわれるともっとやりたくなるけど、今は時間がねぇからな」
正臣は手を止めるといろいろと帝人に着せていく。服がどのような構造になっているのかも帝人には理解できない。
スポッと着ればそれで終わりではないのか。用途不明なファスナーや紐はなんなんだろうか帝人にはわからない。
靴下まで履かせてもらって鏡を向けられる。
そこには自分の面影はありつつ幼い、少女めいた顔とこじんまりした体がある。
夢だと思いたい。
帝人の意識は遠くなりかける。
微妙な倦怠感。
こういう目覚めは珍しい。
昨日遅く寝ただろうか。
記憶が曖昧だ。
「んー?」
肩や首を回してみる。
やはり違和感。
立ち上がればバランスが崩れて転倒する。
「え」
視界に入る爪に見慣れないもの。
窓からはいる太陽光を照り返し輝く桜貝。
小さな爪に薄くナチュラルにつけられたマニキュア。
正臣のいたずらかと疑う気持ちと同時に違和感が倍増する。
こんなに自分の手は、指は、爪は小さかっただろうか。
細く肉付きのない軽い手。
しげしげと帝人は自分の手を見る。
手首に視線を向けて骨格がどこかおかしい気がした。
立ち上がる前にもう一度自分に視線を向ける。
転んで投げ出された足。やはり記憶と差異がある。
視線を腿まであげてぎょっとする。
肉付きのいい腿と同時に胸元が目にはいった。
見たことはあるが自分から手を伸ばしたことのないソレ。
男では持ち得ない膨らみ。
手のひらで包めば少しだけあふれるやわらかさ。
(どうして、なんで、なにがどうなって)
手が下腹部へ伸びて愕然とする。
(何これ何これ)
あるだろうと思った場所に大切なものがない。
帝人の狂乱を断ち切るように玄関のチャイムが鳴る。
ゴンゴン叩かれ「帝人? みーかーどー?」と聞き知った声。違和感を覚えないでもなかったが帝人は藁にでもすがる思いで扉を開ける。
「お? って、まだ着替えてねぇのか。昨日渡した奴でいいだろ。まだ慣れないのか?」
正臣は仕方がないとでも言いたげに帝人の家には行ってくる。
ブーツを脱ぐ正臣を見ながら違和感が強まる。
正臣に似合うのだが、ああいったデザインは女性向けというか女の人しか履かないのではと帝人が目を見開けば全体的な服もまた違う。
ボーイッシュでラフスタイルな短パンではあるが女性の衣服。というよりも骨格からして男には見えない。
帝人と似たような身長だったが正臣はここまで細くない。
固まっている帝人をおいて正臣は部屋の隅の包みを手にとり開ける。
「一応は着てみたのか? 変じゃなかっただろ」
白いレースのワンピースを広げる。
(少女趣味)
少しうんざりした顔になる帝人に正臣は慣れたように下着を投げる。
受け取りながら帝人の口から「あ、ああ」と言葉にならない音が漏れる。
「自分のなんだから赤くなんなよ」
呆れたように笑われて何がなんだか分からなくなる。
(どうして正臣は普通に受け止めてるの?)
泣きそうになりながら帝人が正臣を見れば「仕方がないなあ」と笑われる。
近づく正臣に戸惑いの目を向ければ職人芸としか思えない自然な仕草で裸に剥かれる。
声も出せずに驚いていると「そっち向く」と体の向きを変えられ女性ものの下着を胸につけられる。見えてしまった下の方もやはり女性向けのレースの下着をつけている。
自分はどうしてしまったのかと思うと同時に正臣だってどうしてこんなことになっているのだろうか。
「微乳というか美乳というか、ちょうどよく手の内に収まるベストサイズというか」
後ろのホックを止めたあと改めて正臣が帝人の胸に触ってくる。じゃれつくようにふにふにと。
「ちょ、ちょっと、やめてよぉお」
「そういわれるともっとやりたくなるけど、今は時間がねぇからな」
正臣は手を止めるといろいろと帝人に着せていく。服がどのような構造になっているのかも帝人には理解できない。
スポッと着ればそれで終わりではないのか。用途不明なファスナーや紐はなんなんだろうか帝人にはわからない。
靴下まで履かせてもらって鏡を向けられる。
そこには自分の面影はありつつ幼い、少女めいた顔とこじんまりした体がある。
夢だと思いたい。
帝人の意識は遠くなりかける。