I eat up your heart. Ⅱ
いやな夢を見た。
何よりも大切なモノを何よりも大切な人に壊される夢だ。
「…っ!?」
真夜中に目を覚ます。
冷や汗がひどい。
「どうしたあるか? 菊。」
「はぁ…はぁ……」
「顔色すげー悪いあるよ…ちゃんと休むよろし。」
月明かりに浮かび上がるのは九つの尾と琥珀色の瞳。
「耀さん…」
「大丈夫、我がずっとそばにいるある。」
どちらもここにいてはいけない存在。
九尾の狐と猫又…。
大和という国の中心部で生き続ける許されないモノたち。
私は先々代の帝に可愛がられた猫…
それが長年の時を経て、妖怪となった。
今は帝のもとで正体を隠し、専属の術師としてこの宮にいる。
「…今日は綺麗な満月ある。」
少し哀しそうな表情をしながら月を眺める彼。
「懐かしい…んですか?」
「ううん。懐かしいとしても…思い出せないあるよ。」
何千年も生き、何度も国をその容姿で滅ぼしてきた九尾の狐…それが耀さん。
大和に渡ってきたのもさえ何百年も前だ。
いつから生きていたのか?、と聞かれたら答えられる自信がない。
すべての記憶はもう…この都にかかる霧よりも曖昧だからだ。
覚えているのは自分が狂わせた人々の名前だけ。
…いや、一つだけ確実に覚えていることがある。
菊との出会いだ。
何よりも大切なモノを何よりも大切な人に壊される夢だ。
「…っ!?」
真夜中に目を覚ます。
冷や汗がひどい。
「どうしたあるか? 菊。」
「はぁ…はぁ……」
「顔色すげー悪いあるよ…ちゃんと休むよろし。」
月明かりに浮かび上がるのは九つの尾と琥珀色の瞳。
「耀さん…」
「大丈夫、我がずっとそばにいるある。」
どちらもここにいてはいけない存在。
九尾の狐と猫又…。
大和という国の中心部で生き続ける許されないモノたち。
私は先々代の帝に可愛がられた猫…
それが長年の時を経て、妖怪となった。
今は帝のもとで正体を隠し、専属の術師としてこの宮にいる。
「…今日は綺麗な満月ある。」
少し哀しそうな表情をしながら月を眺める彼。
「懐かしい…んですか?」
「ううん。懐かしいとしても…思い出せないあるよ。」
何千年も生き、何度も国をその容姿で滅ぼしてきた九尾の狐…それが耀さん。
大和に渡ってきたのもさえ何百年も前だ。
いつから生きていたのか?、と聞かれたら答えられる自信がない。
すべての記憶はもう…この都にかかる霧よりも曖昧だからだ。
覚えているのは自分が狂わせた人々の名前だけ。
…いや、一つだけ確実に覚えていることがある。
菊との出会いだ。
作品名:I eat up your heart. Ⅱ 作家名:狼華