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そーゆートコ

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銀時は少し笑う。
「で、おめーはどーする気だ? 明日、その娘の誕生会に行くのか?」
「……松平の娘は気だてのいい娘なんだ」
「じゃあ、娘の誕生会に行って、そのプレゼントを渡してやるのか?」
桂はまた黙った。
迷っている。
あたりまえだろう。
自分たち攘夷志士をさんざん苦しめてきた敵の親玉である男の頼みだ。
それをきいてやる義理はない。
だいたい、その失脚を狙って、身元を偽り、屋敷に潜伏したのだ。
頼みのきくのは、本来の目的とは逆になる。
しかし。
それでも。
きっと、桂は。
そう思いながら、銀時は眼を細めて、桂を見る。
しばらくして、桂の口が開かれる。
「敵とはいえ、交わした約束は守らねばな」
銀時を見ないまま、ひとりごとのように言った。
やっぱりな、と銀時は思った。
明日、桂は松平の娘の誕生会に行き、松平からのプレゼントを娘に渡してやるつもりなのだ。
予想したとおりである。
銀時は、また、笑う。
それから、桂のほうに近づいていく。
桂のそばまでいく。
ようやく、桂がこちらを見た。
もう距離はほとんどない。
「俺ァ」
だから、小声で告げる。
「オメーのそーゆートコ、好きだ」
照れくさくもあったので。
娘の誕生会に行く以前に、桂は娘の本音を聞きだし、その願いを敵であるはずの松平に伝えている。
最終的に、桂は敵と味方という区別はせず、同じ人間として、同情する。
そのために動くこともある。
公正で、優しい。
その優しさをひとりじめしたくもなる。
けれども、そんなことは、さすがに無理だ。
わかっているから、言わない。
言わずに、さらに近づく。
桂が眼を閉じる。
その唇に自分のそれを重ねた。
今、ひとりじめする。











作品名:そーゆートコ 作家名:hujio