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そーゆートコ

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猪口を机に置く。
「それで、松平のおっさんに正体がバレなかったか?」
「……家政婦は今日限りクビだと宣告された」
「ああ、やっぱり、バレたか」
銀時は鼻で軽く笑った。
「それだけじゃねェ、見逃されたか」
本来であれば即座に捕らえなければならないのに、あくまでも家政婦としてクビにして自由にさせた。
「気に入られたってワケか」
とはいえ、次に会ったときは、お互い敵にもどり、戦うことになるのだろうが。
しかし、それにしても。
「テメーは敵味方関係なく、惚れさせるよなァ」
「なにを気持ちの悪いことを言っているんだ」
「惚れるってのは、別に色恋だけじゃねーだろ」
「……」
「しかも、ぜーんぜん狙ってねーのに、惚れさせんだから、タチが悪ィ」
その一番の被害者は、実は自分で、それを自覚しているが、桂には言わない。
桂はまた黙りこむ。
だが、その手が動いて、机の上にある銚子と猪口を取った。
それらを桂はそのまえに置いた。
銚子をかたむけ、猪口に酒をそそぐ。
それから、一気に飲み干した。
酒に強い桂は猪口一杯ぐらいでは酔わない。
しかし、空になった猪口を置くと、右肘を机につき、その手のひらの上に右耳を置く。
うつむいている状態になり、長い髪が落ちて、顔のほとんどが見えなくなる。
なにを考えているのだろうか。
やはり、クビになった松平家のことだろうか。
なんだかんだいっても、桂は松平家の者たちに気に入られていて、そして、おそらく桂も彼らのことを気に入っているのだろう。
けれども、松平家の当主が敵であるのは変わりない。
「なァ、ヅラ」
「ヅラじゃない、桂だ」
顔をあげないまま、桂はいつものように訂正した。
その桂に告げる。
「また家政婦やりたくなったら、うちに来い」
間があった。
そして。
「家政婦を雇いたければ、求人を出せばいい」
そう桂は言い返してきた。
だから。
「そーゆーことじゃねェって、わかってんだろ?」
銀時は軽い口調で言い返した。
作品名:そーゆートコ 作家名:hujio