そーゆートコ
「なんだったら、家事全般、俺がやる。慣れてるからなァ」
「タチが悪いのはおまえのほうだ」
ようやく桂の顔があがった。
その眼が向けられる。
それを銀時は見返す。
今さらだから、迷いはない。
本気だ。
ただし、問題はある。
桂が攘夷党の党首で、指名手配犯だということだ。
大きな問題だ。
それが理由だろう、桂は眼をそらした。
「……そんなことを簡単に言うな」
「だが、深く考えたってさァ」
銀時はあくまでも軽く言う。
「結局、俺がオメーに心底惚れてんのは変わりねェんだから、一緒だろ」
また、間があった。
そして。
「まったく、おまえは」
苦々しげに言って、桂は顔をそむけた。
しかし、本気で嫌がっているわけではないだろう。
長年のつき合いで、わかる。
銀時は机の上にある銚子を手に取った。
軽い。
予想したとおり、空に近い状態なのだ。
「もう一本、つけてきてやろうか?」
「……頼む」
桂は顔を背けたまま返事をした。
だから、銀時は銚子を持って立ちあがる。
廊下のほうへと行く。
この先どうなるかはわからない。
しかし、それは悪くなるかもしれないが、良くなるかもしれないということ。
なら、良くなると信じておけばいい。
それに、先はどうあれ、今、ふたりでいることを楽しめばいい。
なんて気楽に考えながら、銀時はほろ酔いの足取りで廊下を歩いた。