そーゆートコ
おまけ その3
夜。
「なんだ、また来ていたのか」
廊下に立っている桂が言った。
銀時はその姿を眺めおろす。
「なんだそのカッコ」
「家政婦だ」
「家政婦、つーか、ソレ、メイド服ってヤツじゃ……」
松平片栗虎の屋敷にいたときの地味な変装とは違い、華やかだ。
しかし、似合っている。
似合っているから、タチが悪い。
「今回潜入した先の家政婦の制服がコレだったから、コレを着ているんだ」
「いや、潜入するにしても、メイドとしてじゃなくてもいーだろ。てゆーか、今回潜入した先ってどこだよ?」
「江戸城だ」
あっさりと桂は答えた。
銀時は眼を見張る。
「敵の総本山かよ……!」
そこにそんな格好で、単身、潜入してきたのか。
驚いた。
直後、あることを思い出す。
「そーいや、さっきテレビでニュースが流れてた。真選組のヤツらが江戸を離れている隙を狙って、テロリストたちが江戸城に攻めこんだが、それを将軍がたったひとりで鎮圧したって」
銀時の脳裏に、テレビで放送されていた江戸城やテロリストたちや事件を伝えるリポーターの映像が、よみがえった。
「たったひとりでよくやったもんだと思ってたが、まさか、テメーが助けたんじゃねーだろーな!?」
「なりゆきでそうなった」
「オメー、自分の立場がわかってんのか!?」
「俺は正義の味方だ」
メイド服の桂は堂々と胸を張って言った。
「……」
銀時は開いた口がふさがらなくなった……。