angel lamp4
ベッドに横たわっても、「彼女がマスターだったら」という考えが、消えない。
僕のマスターが、マスターであることに、変わりはないけれど。
もし、彼女だったら、僕をずっと側に置いてくれただろうか。
沢山の人形を作る代わりに、僕に、色々なことを教えてくれただろうか。
倉庫に入れたまま、僕を忘れたりしただろうか。
「マスター・・・」
会いたい。マスターに会いたい。
会って、確かめたい。
彼女の話が、本当なのか。
どうして僕を作ったのか。
僕の声を好きだと言ってくれたのは、本心だったのか。
頭の中がぐちゃぐちゃになって、叫び出しそうになった時、
「カイト、起きてる・・・?」
遠慮がちなノックの音と、彼女の囁き声が聞こえた。
「あ、はいっ」
慌てて起きあがり、扉に駆け寄る。
開けると、彼女が申し訳なさそうな顔で、
「ごめんなさい・・・もう遅いのに」
「いえ・・・どうされました?」
僕の問いかけに、彼女は、胸元のペンダントを手にとって、
「これを、外してくれる?ごめんなさい、自分では、うまく出来なくて・・・」
「ああ・・・すみません、気がつかなくて」
「ううん、私の方こそ、ごめんなさい」
麻痺のある手では、小さな金具は扱いづらいのだろう。
僕は、彼女に後ろを向いてもらうと、金具を外した。
「ありがとう、カイト」
ほっとした表情の彼女に、ペンダントを返そうとして、
「これ、僕が預かりますね。付ける時は、言ってください」
「え?あ・・・そうね。ありがとう」
彼女は、ふわりと微笑むと、
「遅くにごめんなさいね。お休みなさい、カイト」
「お休みなさい。良い夢を」
作品名:angel lamp4 作家名:シャオ