ピーターパンシンドローム
『アーサー、これ読んで!』
『はいはい』
『ぴーたーぱん・・・?』
『ああ、俺の好きな話だ』
『大人に、なりたくないんだぞ』
『アーサーを、傷付けるような、大人には絶対…』
『アーサーは俺が守るんだぞ!』
ひらり、と舞い落ちたのは記憶の断片
夕日を描いたあの日の記憶
もう、戻らない
もう、帰らない
目の前の存在だけは、と
彼は小さなその身体を抱きしめた
『お前だけは、離れないでくれ』
何かを察した少年は
『アルフレッドじゃないから、それは無理なのですよ』
『シーくんには荷が、重たいですよ』
作品名:ピーターパンシンドローム 作家名:紗和