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spirale 1

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「イタリア……?」


暗闇に飲まれる屋敷
月明かりが大きな窓から降り注いでいるだけの部屋
そこに彼はいた

まだ幼い身体、久々に会ったあの日は忘れられなかった
いつの間にかどこかへ行ってしまった彼
帰ってきた事実はとても嬉しくて、でもそれを素直に喜べない自分がいた
少しのプライドと、空回りする感情

(俺はただ、アイツと―――)


「……っく、ひっく」


微かに聞こえた声
彼は泣いている。月明かりに照らされたその顔は青白い
大きな瞳からはポロポロと大きな雫が零れていて


「しんせ、いローマぁ……、ひっく…」


(俺に、泣いてる?)

小さな唇から紡がれたのは自分の名前
愛しい。直ぐにこの物陰から出て、その小さな身体を抱きしめて、安心させて、その涙を拭いたい
けど彼はそれを望んでいるのか
普段から彼は自分を避け、怖がっている
恐怖を塗ってしまうだけでは無いのか。そう考えると足が動かなかった


「おじいちゃ…、神聖ろー、ま…」


部屋に置いてある少し高い椅子に座って膝を抱えるイタリア
両膝に顔を埋めて、嗚咽を堪えているのだろうか

(きっといつもみたく泣いたら、あいつ等が来るからか)

何も出来ない。どうすればいいのかわからない
そんな自分に嫌気がさす
イタリアから「スペイン兄ちゃん」と慕われているあいつはどんな慰めをするのか
フランスは?オーストリアは?ハンガリーは?

自分には、なにができるのだろう



カタン。肘が置き物に当たる
オーストリアのお気に入りである陶器の人形
それがカチンとぶつかり、闇と月に支配された部屋に響く


「だ、れぇ……?」


怯えた表情で辺りを見回すイタリア

(違う。俺はそんな顔をさせたいわけじゃない)

いつもどおり、いや、寝ぼけたふりをして、すぐここから出ればいい
頭では考えられるのに、それに反して足は動かない
体は正直。というのはこういう事を言うのか なんて冷静な考えが頭を巡る

ここで、彼は俺の名前を呼んで、求めてくれるのか


「神聖…ろーま?」


ごしごし。と洋服の袖で濡れている瞳を拭って、近づくイタリア
さきほどまで嗚咽を漏らしていたその唇ははっきりと自分の名前を紡いでくれた
まるでそれが呪文のように、解けなかった金縛りが解けた気がした

物陰から姿を出す
作品名:spirale 1 作家名:紗和