angel lamp6
「ひっ!」
振り向いた僕の背後で、小さな悲鳴が聞こえた。
彼女は、僕の後ろに視線を向けてから、目を伏せて、
「ごめんなさい。驚かせてしまって」
そう言って、そっと出ていく。
僕は、息を吐いてから、自分の手で口を押さえている少年に向きなおり、
「お願いだから、帰って。彼女には、僕が説明するから」
「ご、ごめんなさい・・・」
「・・・君のせいじゃない。いいから、お帰り」
今にも泣きそうな顔で、少年は頭を下げると、元来た道へと戻っていった。
その後ろ姿を見送ってから、僕は、勝手口の扉を閉める。
彼女の姿を探すと、居間の窓辺で、ぼんやりと外を見ていた。
「・・・あの子は、帰りました。あなたに、お礼を言って欲しいと」
僕の言葉に、彼女は振り向いて、
「そう・・・。悪いことを、してしまったわね」
「そんなこと!」
思わず声をあげたが、目を伏せた彼女に、口をつぐむ。
「あの・・・すぐに、お食事にします・・・から」
「ありがとう、カイト」
それ以上、言葉が出なくて、僕は台所へと戻った。
どうして、そっとしておいてくれないのだろう。
僕のことも。
彼女のことも。
僕はただ、彼女の傍にいたいだけなのに。
彼女と二人、静かに暮らしていたいだけなのに。
作品名:angel lamp6 作家名:シャオ