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 「・・・・ハハッ」
 「・・・・?」
 思わず笑ってしまった俺を、臨也が怪訝そうに覗き込むのがみえた。
 そんなくだらないことのために、散々俺の周囲を掻きまわして、どんな汚い手を使ったのか知らないが俺と周囲の人間との関係を見事に消し去ってみせたのか。とことんまでに鬱陶しい男。
 くだらねぇ。
 あいつらが俺無しでも元気にやっていけるんならそれでいいじゃねぇか。俺は、一人は慣れている。勿論、寂しくないなんて言ったらウソになる。それでも、臨也の思う通りになる、ましてや臨也に縋って生きることに比べればずっとずっとマシだ。
 サングラスを外して、胸ポケットにしまう。臨戦態勢だ。手近にあった安っぽいゴミ箱を投げつけてやるが、難なく避けられる。
 「てめぇだけは一度ブッ殺さないと気が済まねぇ!」
 「残念だな。せっかく俺が歩み寄ってあげたのに。」
 素早くコートのポケットからナイフを取り出し、切っ先をこちらに向ける。そんなもので俺を殺せないことなんて、とうに分かっていることなのに。
 「ねぇシズちゃん。俺が死んじゃったら、君抜け殻みたいになっちゃうんじゃない。」
 「は?」
 「そんなシズちゃんも見てみたいけどさ、俺死んじゃってるから見れないね。残念。」
 そんなことを、何だか本当に寂しそうに言うものだから、俺はまた笑いが込み上げてきた。
 「馬鹿が。てめぇの方こそ、俺が死んだら抜け殻みたいになっちまうだろうが。」
 「・・・・そうかもね。」

 さあ、最後の殺し合いを始めよう。
 勝った者には罰ゲーム。正真正銘の、独りぼっち。


 ‐了-

作品名: 作家名:柳田吟