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ありえねぇ !! 5話目 後編

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『駄目だ。帝人はイイ子でここに居てくれ。臨也の家からネブラの研究所に行くには、高機が待ち受けている首都高を走らなければならない。私は警察に目を付けられている。白バイともし追いかけっこなんて始めてしまえば、かなり運転も荒っぽくなる筈。お前をもし振り落としたりすれば、静雄に申し訳ない』

正論を、とつとつ綴られれば、うぐぐと押し黙るしかない。
帝人は道理を弁えず、我儘を叫べる子供ではなかった。

『その代わり、今度落ち着いたら、一緒にツーリングに連れて行ってやる。春は桜が美しいぞ♪』

そうPDAを突きつけた後、彼女はぽっかり開いていた首に、黄色のフルフェイスヘルメットを乗っけた。
あっという間に、ネットでも話題になっている、池袋の伝説『首なしライダー』の完成だ。
漆黒のライダースーツに同じく真っ黒で大きなバイクを押しながら、エレベーターへ向うカッコイイ彼女を、帝人はふよふよと浮きながら、玄関の外に出て、新羅と一緒にお見送りする。

だが。

今から新羅さんと二人きりなんて。
ああ、気が重い。

がっくりとうな垂れて、部屋の中に戻ろうと振り向けば、何故か目の前でばたりと厚い扉が閉じられてしまった。

(え? 私、締め出し!?)


びっくりしてドアに飛びついても、非力な彼では厚い扉を開けられる訳もなくて。
なら助けを呼ぼうと思っても、新羅には帝人の姿も声も聞こえないのだ。
ぽむぽむと、ドアに頭突きを食らわせ叩いてみたが、ここでさえ無音なのだ。厚い扉の向こうにいる人に、気づいて貰えるとも思えない。

ならば、影の足を使って呼び鈴を押そうと伸ばしてみたが、スイッチに触れる直前に、ぴたりと動作が止まった。

(……どうせ、新羅さんには私が見えていないんだし。だったら静雄さんが帰ってくるまで、外で待ってたっていいよね♪……)

ぽくっとほっぺを真っ赤にし、ウキウキとエレベーターの呼び出しスイッチを押す。
廊下から外を見れば、まだ日が沈んだ直後の、綺麗な薄紫色の空が広がる。
冬のキンと凍える澄み切った星空も綺麗だけれど、あれは美しすぎて怖い。
逆に春の夜空は晴れてても少し煙っているように見え、何か優しいほのぼのとした温かみを感じるのだ。

エレベーターの一階で降り、ふわふわと漂いながら、このマンションの住人がエントランスを潜る隙をついて外に漂い出る。
やはり外は、目茶苦茶気持ちが良い。

空を見上げて大きく息を吸い込んでみる。
幽霊だから酸素とかは一切必要ないけれど、清々しい気や気持ちのいい大気は、霊魂だけになった彼にとって、とても心地よいものだから。

頭の中中に蔓延した、ゴキブリのような嫌な真っ黒い穢れを全部吐き出すように、帝人は空を見上げたまま、延々と深呼吸を繰り返して………。


ばこんと脳をシェイクするような振動が走った時は、もう手遅れだった。

《うわぁぁぁぁぁああああああああああああ!!》


空を見上げたまま、いつの間にかふらふらと車道に出てきてしまった彼は、走ってきた乗用車に見事に撥ね飛ばされ、丁度対向車線を走ってきたトラックの荷台に、ぼすんと文字通り頭から突っ込む羽目になったのだ。



★☆★☆★

本当はここまでで前半終了の筈でした。
帝人の幽霊、迷子です。

以下は追記ですが……。

新羅の真っ黒い墨汁な気配は、皆様ご存知の通り【恋人の心を繋ぎとめておくため、セルティが長年捜し求めていた首を隠した挙句、ずっと黙って騙していた】せいです。
そんな彼の狂愛は、まだ純朴な帝人君には理解できなかったと言う事で、ご理解いただけると嬉しいです。

(もし読んでご不快なお気持ちにさせてしまいましたら、申し訳ございません。ちなみに私は、セルティラブな新羅が大好きです)

後半は、もっとスクランブルになります。