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マルナ・シアス
マルナ・シアス
novelistID. 17019
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【東方】東方遊神記11

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少しニュアンスが違うが、目で殺すという言葉があるように、目や視線にはとても大きな力が宿ったり、また自らの意思で力を宿すことができる。実際、瞳術【どうじゅつ】といったものも存在する。今神奈子を見ている御影の視線にはかなり強い力が宿っている。そしてそれを神奈子にぶつけているのだ。これは自分の真剣さを一番わかりやすい形で表しているのか。しかし、神奈子はそんな御影の強い視線も軽くいなし、さも当然であるかのように答えた。
「勿論。あの力は、実用化できれば電気なんかとは比べ物にならないくらいのエネルギーを得ることができる。それも、電気よりももっと多くの使い道で。確かに、この力は武器に転用しようと思えばできるし、それこそ、顕界の人間がやらかしたような最悪な爆弾なんかも造れるだろう。でも・・・」
そこまで言うと、神奈子はニコッと笑って、
「にとりがそんな危ないものを造るわけないじゃ~ん」
・・・今言おうとしたことを諏訪子に奪われた。
「ちょっ、あんた、あたしが言おうとしてたことを・・・」
「それにね、御影ちゃん、それに青ちゃんも」
先程の流れで諏訪子と手を繋いでいた青蛙神は、突然話を振られてビクッとなって諏訪子の顔を見た。諏訪子はそれを確認し、青蛙神に微笑みかけてから御影の方に向きなおり、語りかけた。
「世の中のすべての道具は、それを使う者の心が正しければ、全て良い道具になるんだよ。それこそ、武器と呼ばれているものもね」
下手なモラリストなんかには到底言えないことを平然と言ってのける。これが神と呼ばれる存在なのか。
「なっ!?」
今度は青蛙神が聞き捨てならなかった。
「・・・武器もですか?」
御影は静かに聞き返す。
「そうですぞ!諏訪子殿!じゃあ何か?我が顕界で見たあの核融合の爆弾も、良い道具だとでも言うのですか!?あの大勢の無辜【むこ】の民の命を理不尽にも奪っていったあの爆弾も!!」
青蛙神の怒りは尤もだ。取り方によっては、人殺しを容認しているようなものだ。しかし、神奈子は静観している。そして当然諏訪子も青蛙神が逆上することがわかっていたのか、猛る彼女を優しく制しながら自らの考えを話し始めた。
「僕が思うのはね、道具っていうのは、一つの物に一つの使い方しかないってわけじゃないって思うんだ。そりゃあ道具なんだから主な目的があるのは当り前だけど。例えば、元々料理を造るための道具の鍋だって、屋根が雨漏りなんかした際は受け皿としても使えるし、確かこの前早苗が洗濯物を取り込む時に大きな鍋を使っていたよ。逆に、同じ台所道具で、本来は食材を切るための包丁が、ひとたび心を乱した者が持てば、一転して誰かを傷つける凶器になる。当り前のことを言ってると思うだろうけど、このことをもう一度ちゃんとしっかり考えることが、道具を使う全ての存在にとって必要だと思うんだよ。さっきの爆弾の話だけど、爆弾という道具の主な目的は当然爆発させることだよね。でもそこだけを見るんじゃなくて、そういう爆弾を持っているっていう状況をうまく利用してみたりね。今にも攻め滅ぼされそうな国が、その爆弾を持って、牽制に使うことで、本来の用途の爆発をさせずに攻め滅ぼされるのを回避するとかね。・・・まぁ自分で言っててちょっと苦しいけど」
自分で満足がいく答えが言えなかったのか、諏訪子は苦笑しながら下を向き、頬をポリポリと掻いた。そして何かを吹っ切るように青蛙神をぎゅ~っと抱きしめた。