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俺の弟がこんなに可愛いわけがない【俺妹性転換】

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「だからって他のやつとやるのか?お前そんな、誰でもいいみたいな─」
俺の言葉に、ついに桐也は糸が切れたみたいに涙をこぼし、つかまれていた腕を振り払う。
「馬鹿じゃん。何聞いてたんだよ。誰でもいいわけないから、アンタんとこに来たんだろ!」
「じゃあつまり、お前は俺ならいいってそういうことか?」
「そうに決まってるじゃん。じゃなきゃ男としたいなんて──」
売り言葉に買い言葉ってこういうのを言うのか?いや、ちょっと違う気がするけど、目の前の桐也は自分の言葉に自分でびっくりしてうつむいてしまった。
どうするんだ、俺。
「もういい。忘れて」
忘れてって、つくづく勝手なやつだ。ここまでわめき散らされて、忘れられるわけがない。それに、可愛い弟なんて思ったことはないけど、他の誰とも知らない、しかも野郎に好きなようにされるのは正直、我慢ならない。
「待てよ」
ベッドから降りようとする桐也を、俺はもう一度呼び止める。マウスでクリック。これでたぶん、俺は今ルートを決定したはずだ。
「なんだよ」
目を涙で潤ませて、真っ赤にした桐也。そうだ、覚悟を決めろ俺。
「目、閉じてろよ」
「え?」
俺は細い桐也の身体を引き寄せて、 男とは思えない小さな顔に手をそえる。そのまま色んな常識を頭の隅において、キスをした。
触れた唇は、本当に男かって思うくらい柔らかい感触がした。もっと嫌悪感みたいなのがあるかと思ったのに、俺は寧ろちょっと興奮してしまったんだと思う。
「ん・・・」
いつも生意気な口しかきかない弟から、そんな声が漏れたから。
唇が薄く息を漏らしたその瞬間、互いの舌が当たって、つい俺はそのまま舌を絡ませていた。二人の唾液が絡まる音が、部屋の中にやたらに響く。桐也の背中に触れてた手に、びくりと反応したのが伝わってくる。気が付けば、桐也の手も抱きつくように俺の背中に回っていた。
「ふ・・・ぁ・・・」
それが、なんていうかちょっと可愛いなんて思ってしまったわけだ。
短いような長いような、そんなキスを終えると、互いに顔を見合わせる。 桐也は顔を伏せたまま、恥ずかしいのか少し震えているように見えた。そんな様子の桐也に、俺まで恥ずかしくなってくる。
「え、えーとだな・・・」
どうしていいかわからない俺に、この後まさかのとんでもない言葉が飛んできた。
「い、いきなり舌入れるってどういうことだよ!?」
「・・・・・・・・・・・・・はい?」
「だ、だって、さっき嫌だって」
「お、お前がしろって言ったんじゃねーか!」
「そ、そうだけど・・・」
さすがに自分の支離滅裂さに気づいたのか、桐也は気まずそうにこちらを見た。知るか、もう・・・。
「だから言っただろうが・・・。もう、二度と変なこと言うなよ」
「仕方ないから、きょ、今日はこの辺でかんべんしてやるよ」
何だって?
桐也は腕を組んで、偉そうに俺にこう言いきった。
「次までにゲームフルコンプして、やり方勉強しとくよーに!」
やり方?やり方ってなんのだよ、おい。
桐也は言いたいことだけ言って、俺の部屋から大慌てで出ていった。
俺の脳の限界を超えた夜はこうして終わった。寝よう。これはきっと夢なんだ。そうに違いない。朝起きれば、きっと全てが夢だったとわかるだろう。
そうして布団をかぶって寝ようとした俺に、残酷な真実が訪れる。



「俺・・・・・・勃ってる」

弟相手に、ついに性的に反応してしまったのだ。