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取り置きアクセント

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縄張りとも言うべき生徒会室には、役員でない者らも巣としている現状がはびこっている。その影響からか、正規の役員はあまり寄り付かない。音声のみでしか影響は出ないものの、どうにも放つ雰囲気は剣呑過ぎる。
目撃例が時たま出るからか、役員の出席率は歯の櫛が掛けていくように減りそれぞれが担当分を内職のごとく片付ける、といった実状である。気が付けば全権を任されてしまい、実質的な会長席に就いていた。
本日も基本的に見て見ぬフリの放任主義である教師らも近寄らないので、居心地のよい気ままな自習室扱いで課された課題を片付けたり、パソコンをこそりと持ち込んではネット内を泳ぐ。
姿をふらりと見せることが出来るのはある程度波長があった者であると言う彼らは触れられない存在である。それはありがちな魂のみの類いかと問われれば違うと答える。自分達はこの世を去っていないと感覚的な根拠でありながらも断言する。試しにせっつかれながら卒業アルバムをめくれば成程、僅かに背丈の伸びた様子の写真がある。先生方に訊けば、今も彼らは変わらず仲が悪く、遭遇すれば実害を伴って巻き込まれると怖がっている。
では何でしょうと改めて問いの内容を変えたのならば、おそらくはっきりとは言えないが、自分達は思念、つまりは残った想いそのものではないかという説が有力なのだそうな。思考を持ち、現在を生きる自分と支障なく会話をすると不思議な心地にはなるけれど、まあ良好な関係を築けていると思う。


人を化かすのが楽しくて仕方ないといった、時折残した影響が起きては苦労を掛けるもそれを収める知恵を貸す彼は、もう一人の同種である片割れ(こう表現すると頬を膨らませるけれど)へ聞くに堪えない嘲りの挑発を投げては、怒声を浴びつつ追いかけっこの逃げ役をする。

日頃は至極穏やかであるが、一旦我を失うとどうにも手に負えない彼は、易々と売られた喧嘩を買ってはひたすら逃げるあと一人の同類である片方(こんな言い草をすると顔をしかめるが)を、物体に触れられないことに憤りを感じた空気を纏った般若となって追い掛ける。


順応しきっていない頃、加えて珍しく雑務が積もって修羅場になり果て騒がしさから集中出来ず、厳しく退室を命じたときは何故か二人揃っているのにしおしおと大人しくなった。それ以来追い出すのは可哀そうとつい思ってしまい、この現在にまで至る。

妙に懐かれてしまったと苦笑しながら、賑やかな作業音を今日も聴き入る。
作品名:取り置きアクセント 作家名:じゃく