はらだたしいおとな
デンジさんはいつも年上の女の人と付き合っている。なんでかは知らない。けど、別れても別れても、どんなに新しい彼女になっても年上の人と付き合ってるんだからまあ、そういう好みなのかな。それかすごく年上にもてるとかね。デンジさんは最近また新しい彼女が出来たらしく、片手でレントラーにきのみを差し出しながら携帯をもう片方の手に持ってだるそうにおしゃべりしていた。だるそうにみえて、そして実際だるいんだろうけど、意外とそういうところは欠かさないのだ。義務なんだって。多分その「義務」ってとらえてるところでいっつもふられてるんだと思うんだけど。今だってレントラーに向ける目のほうが数倍やさしい。アアわかってるよ、って、電話の向こうに意識がいってるときの目はもはや仕事中のそれだ。仕事(勿論バトル以外の雑務ってこと)は生活、というかお金のためにやるんだろうけど、じゃあ恋愛は?愛のためかな。アイねえ………僕がみかんを剥き終わった瞬間にデンジさんは電話を切った。
「あーさむっ」
「デンジさんもみかん食べますか」
「っていうかそれ俺のみかんだからね」
「剥きましょうか」
「うん。剥いて」
こたつに入ってデンジさんはテレビをつけた。電話の感じからして、僕は今日アポなしでデンジさんを訪ねてきたけど、もし来なかったら今頃彼女さんが来てたのかなあ、と思った。そう思ったらやおら申し訳なくなってきて、僕はみかんの白い筋を出来る限り丁寧にとった。デンジさんはバラエティをつまらなそうにみている。
「どうぞ」
「ん。サンキュ」
「…あの」
「ん?」
「今日すいません。急に来ちゃって」
「……えっ急に何?」
「あーさむっ」
「デンジさんもみかん食べますか」
「っていうかそれ俺のみかんだからね」
「剥きましょうか」
「うん。剥いて」
こたつに入ってデンジさんはテレビをつけた。電話の感じからして、僕は今日アポなしでデンジさんを訪ねてきたけど、もし来なかったら今頃彼女さんが来てたのかなあ、と思った。そう思ったらやおら申し訳なくなってきて、僕はみかんの白い筋を出来る限り丁寧にとった。デンジさんはバラエティをつまらなそうにみている。
「どうぞ」
「ん。サンキュ」
「…あの」
「ん?」
「今日すいません。急に来ちゃって」
「……えっ急に何?」