【臨帝】SS【詰め合わせ】
「何?」
「へ?」
唐突に、臨也さんがこちらを向いた。
苦笑と愉悦と、それから少しの揶揄を込めた視線に、僕はまるで全て見透かされたような心地になる。
でもまだバレてはいないはず。
「な、何がですか?」
白々しく上擦った声で応えれば、「ふぅん?」と薄い笑みが返ってきた。
誤魔化せると思ってるの?臨也さんの瞳がそう語ってる。
けれど僕は往生際悪くも視線をついと逸らしてしまった。
「なぁんだ、襲ってくれないの」
残念。と、揶揄混じりの声が届く。
どこか甘いその声に、頬どころか耳まで熱くなるのを感じた。
(言える訳が無い。キス、したいなんて)
作品名:【臨帝】SS【詰め合わせ】 作家名:志保