GUNSLINGER BOY Ⅵ
君と夕暮れ
平和島静雄がその少年と出会ったのは本当に全くの偶然だった。
「ねぇ、君、どっか行く途中なの?」
「一緒に遊ばない?」
「いえ・・いいです」
「よく見たら、ずいぶん良いもん着てんじゃん。もしかしてぼく、どっか良いトコの坊ちゃん?」
「へー、それなら遊ぶにはお金に困らないねぇ、ぼく」
「・・・・・」
仕事もひと段落し、せっかくゆったりとした気分で散歩をしていたというのに。
耳に入ってきた胸糞悪いやりとりに静雄の機嫌は急降下した。
声のした方向を見ると、大通りから少し外れた路地でいかにも不良という感じの若者数人が一人の子供を囲んでいる。
絡まれている少年は華奢で小柄な体格をしていて、あれではろくな抵抗もできなそうだ。
ため息をつきながら火のついたままの煙草を指で握りつぶし、後ろへ放り投げた。
静雄は暴力が嫌いだ。
自身の持つ暴力的な力のせいで平穏な生活を送りたいという願いが叶えられず、他人から敬遠され孤独な日々を送ってきた。
そんな静雄にとって自分より力の弱そうな人間を狙って暴力で脅すような輩はムカツク対象だ。
大した理由も無く平気で暴力を奮って、傷つける。
そんな、自分が最も嫌悪することを、笑顔で楽しむような奴ら・・・
「・・・特に、集団で子供を囲んでいたぶろうなんて奴らは・・・・
大っ嫌いなんだよっ・・!!!」
作品名:GUNSLINGER BOY Ⅵ 作家名:net