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ナーバス

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何故だろう。
 シキは、自分を殺さずにいる。手合わせした時、何度も何度も今回ばかりは斬られると思いながらも、シキは毎回自分を見逃す。
 屈辱以上の何物でもなかった。
 だから、シキを追う。
 復讐とか砕かれた自尊心とか、そんなものが綯い交ぜになって、剥がしても剥がしても又出来る鬱陶しい瘡蓋の様に、シキへの憎悪がアキラの中で凝っている。だから、いつまでも追い続ける。シキを。
 そうしてアキラは再びこの地を踏んでいた。
 トシマ。
 色々なものを失った街。シキと出会った街。
 シキが、この街にいるという情報の信憑性は定かではない。けれど、どんな情報でもシキにつながるものならアキラは集めたし追った。
 トシマの街は、復興から取り残されてまだ荒れたままでいる。戦時中より終戦直後のほうが、却って街は荒れるものだ。
 それでも少しずつ様変わりした街を歩く。入口近くのケイスケと出会った喫茶店。袋小路。ヴィスキオの城は、瓦礫の山と化していた。
 この街でこの服を身に纏い、日本刀を携えるとまるであの男になったような錯覚さえ覚える。
 そして、立ち枯れた木のある小さな広場。シキに追い詰められ、自分の血の秘密を教えられた場所。
 自分は、何を求めてここまで来たのだろうか、と不意にそんな疑問がわく。
 ――決まっている、シキを斬るためだ。
 内の自分が自分に言い聞かせるように、呟く。そうだ、そのために憎しみをここまで滾らせた。
 と、そこで歩を進めるうちに、木にもたれかかっている男がいた。
 何故かはわからない。けれど、その男に近づくと胸が高鳴る。シキと対峙した時とはまた別の。
 男の顔が判別できる距離になって、アキラは驚愕する。
「アンタは……」
 生気の無い、幽鬼のような男。
 アキラをシキと引き合わせ、あの下水道への道を教えた男だった。
「お前は……染まったのだな」
 チラ、とアキラを一瞥してゆったりとした口調で、男が呟く。生気のない顔、覇気の無い瞳。
「アンタは……何者なんだ?」
 男のことがひどく気になった。男はアキラを一瞥したまま、押し黙る。
 高揚は感じない。むしろ、ひどい頭痛がする。これは何だろう。
 ただの生気の無い男なら、切り捨てるにも値しない。それなのに、殺気を身に纏うことが自然になった今では、わかる。
 この男に、一分の隙もないことに。
作品名:ナーバス 作家名:黄色