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空の境界~未来への軌跡~5(完結)

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~蒼崎家~


あの事件の次の日、三咲市にある「遠野家」に、金髪の客がやって来た。

「志貴く〜ん、今日こそ一緒にデートしよう。」

アルクェイドである。

「生憎、兄は今日「眼の検診」に行ったわよ。」

秋葉が冷淡にアルクエイドに、告げた。当の本人も昨日の今日だけに、一緒に遊びたかったのだろう。悲しみが滲み出ている。

「あっそう。なら仕方ないはね。帰ってくるまで待ってましょうか。」

そういって、志貴の部屋に向かおうとしていた。

「吸血鬼のくせに、「迎え入れていない家」に上がりこむなんて、非常識じゃない。」
「あら、そんな仕来りなんてあったかしら?」

「エルダー」なのに寝ていた「封印されてた?」せいで年寄りくさくないのだ。その為そこら辺は抜け落ちていたりする。

「仕方がないわね〜。客間に居てあげるから、お菓子くらいだしなさい。」
「良いでしょう。飲み物(聖水?)も着けてあげる。」
「そうね。貴方の血なんか良さそうね。」

志貴が居たら頭を抱えそうな会話が行われた。


その志貴は、自分がいつも蒼崎青子と会っている河原に寝そべっていた。

「よう。姉が迷惑かけたようだな。」

蒼崎青子(あおざきあおこ)が気配も無く自分の隣に立っていた。確かによく見れば棟子に似ていることに、気がついた。

「ええ、殺されかけましたよ。」
「そうか、蒼崎家の頭首として謝罪させてくれ。」
「過ぎたことですから、気にしないでください。」
「そうか。」

しばらくの沈黙の後、青子が口を開いた。

「内ゲバに巻き込んで、すまなかったな。」
「そんなことは無いです。この眼鏡のせいも有りますから、気にしないでください。」
「そう言ってもらえると助かる。」

そして再び沈黙が続いた。

「あの〜、これが「自分」のせいなんて考えているのなら、考えすぎです。」
「いや、しかし…」
「そもそも首を突っ込んだのは、僕ですからある意味「自業自得」です。」
「それはそうだが、ここは蒼崎家の頭首としてしっかり、制裁なり何なりしなければ、示しがつかん。」
「それを、止めてほしいから今日は来たんです。」
「なに?」

青子さんは、意表を突かれたように口を閉じた。

「「魔術師」の家に関する事は、正直解らない事がいっぱいで、どうする事もできませんが、最低でも僕たちが、生きてるうちに「殺し合い」をするなんて事は、避けてください。」

青子さんが苦笑した。

「無理難題をいってくるな。」
「正直、自分でも一時は「死」を覚悟しましたが、彼女を知ってしまった今となっては、知っている人達が「殺し合うの」は避けてほしいだけです。」

かつて、自分も「自分」をこの手にかけたのだ。正直、殺し合いなんて辞めてほしかった。

「フェミニストだな。」

志貴は苦笑した。

「そう言う貴方も、「直死の魔眼」を手に入れた程度の子供のために、命をはってくれたのですから、充分青子さんもフェミニストだと思いますよ。」
「では、どうするというのだ。恐らく、協会は今回の一件で蒼崎家の頭首たる私に何か言って来るだろう。それでも、だめというのか?」

確かにその可能性は、有った。
でも、引くわけにはいかない。どんな物が「幸せ」なのか正直、自分にも解らなかったがでも、「殺し合い」だけは、避けなければならなかった。
半信半疑だったけれどもやはり、黒桐さんの言うような事にかけて見ようと思った。自分は、どちらの「死」も望んでないのだから。

「それでは、あと五年〜十年位待ってもらえませんか?」
「なぜだ?」
「それは、秘密ですが恐らく「蒼崎家」としての討伐理由が、なくなるからです。」
「何を言っているのかよく解らんが?」
「今は、解らなくてもその頃には解るかもしれませんよ。」
「何を言っている?」


棟子は志貴を手なづけたのか?
その考えは有り得なかった。私との決闘は、向こうも望んでいるはずだった。それに、たかだか十年そこらで、魔術師が新たな魔法技術を手に入れるなんて出来る筈もなかった。
では、なんだ?
姉、棟子に襲われて尚棟子を殺すななんて、どういう意味があるのだ?
魔術師として、日々精進している自分が解らないなんてあるのか?

「どうします?返事しだいでは、いくら僕でも「眼鏡」を外さないといけませんよ。」

そこまで、覚悟していたのか?
どうやら、この問題は私の「負け」のようだ。
志貴を殺すことなんか自分には出来ないのだから。

「わかったよ。「今は、「決着」の時じゃない。」といって「協会」からの要請は聞き流しておいてやる。」
「じゃ」
「ああ、その代わり向こうから仕掛けてきたら間違いなく、「殺し会う」けど問題ないな。」
「それは不可抗力ですから。」

志貴の顔から安堵の表情に変わった。

「それより、どうして五年〜十年なのだ?」

志貴はとてつもないことを口にした。

「それは、彼女が「恋愛中」だからです。」

青子は全ての言葉を失った。


~新たな来客~

その日蒼崎棟子は、朝から伽藍の堂に姿を見せなかった。
その代わり、式が家から持参したお茶を入れていた。

「棟子のやつ、本当に空港いったのか?」
「さあ、どうだろう?そういう場所って、マークされやすいからね。」

いつものように、僕は書類と格闘していた。
こういう風に、過ごす日常もとても久しぶりで、あるべき所のような気がして心が落ち着いた。
ちなみに、式に対する仕事の斡旋は今後無くしてもらうように頼んでおいた。

「別に、俺は気にしないが。」

気にしてくれ。
もし、お腹の子供に何かあってからでは遅いのだから、そういうのはしっかりして貰った。
棟子さんも、渋々それは理解したようだ。

「しかし、そうなるとお前らに出す、給料に問題が生じてくるぞ。」

「なにを今更」

という感じである。

「棟子さんの「買い物」で人の給料まで使い込むのを、控えてくれればまったく問題ないでしょう。」

痛いところを言われて、沈黙した。
そんなこんなで、時間は過ぎていった。


ちなみに大輔兄さんは、異例の大出世をしてしまった。
そういうのも、退院したその日兄さんの溜め込んでいた捜査書類全部が日の目を見ることになってしまったのだ。
中には、大物政治家の事件から暴力団関係、各省庁関係、終いには検察、警察のもみ消した事件までまさに、兄さんが警察官じゃなきゃ表に出ない資料が公になってしまったのだ。
大輔兄さんの上司たちも、「再捜査」と言う名の「火消し」に一生懸命なのだ。
そして、その当事者「火を着けた」本人に

「これ以上出されたら、困る。」

とのことで、異例の二階級昇進と栄転という名の「移動」が行われることになったのだ。

「インターポールで、イギリスなんていいかもしれない。」

大輔兄さんのその一言で、イギリス行きが決定した。
余談だが、この影響で両儀の義父さんには被害が出なかったが商売敵さんが、捕まってしまったらしく。

「これは良い、ご祝儀を頂いたわい。」

とご満悦だった。

ちなみにイギリスを選んだのは、言わずと知れた「魔法学校」時代を調べ上げるためで、これも計画のうちだったのだ。