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あなたとわたしでポッキーゲーム!

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しどろもどろに本当のことを話すと、一瞬呆気に取られた顔をした後タクトは笑
い出した。思わずかぁっとなって言い返す。
「なっ、何がおかしいんだ・・・・!」
「っははは、いや、そんなことなら言ってくれればするのにと思って。むしろ俺
 も周りがやってたからちょっとやってみたかったんだよね。あ、もちろんスガタ
 とだけだけど」
極めつけの一言のせいで羞恥で死んでしまいそうな思いがした。こういう事をさ
らっと言いのけるものだから驚きだが、ちゃんと思われてるのを言葉にして伝え
られるのは悪くない。本当はすごく嬉しい。
「・・・・っい、いいから早くやるぞ!」
「え、スガタからしてよ。俺は可愛いスガタからの愛を受け止めああ痛い痛いご
 めんなさい」
調子に乗って変な事を言い出すタクトの手を思いっきりつねる。素直になった途
端これだ。でもどこかこのやり取りを満更じゃないと思う自分がいるのだから、
どっちもどっちなのだろう。
「・・・・よし、じゃあ、いくぞ」
「うん」
震える手でポッキーの袋を破り、一本取り出す。こういう行為は自分からするこ
とは少ないし、ましてやポッキーゲームなんて初めてだから余計に緊張した。チ
ョコが先端についていない方を口にくわえる。ぎゅっと目を瞑って、段々大きく
なる拍動を感じながらタクトに近づきーーー・・・。“






「と、いう具合かなー」
「逆にしてもまた美味しいなんて!素晴らしすぎてヤマスガタ涙が止まりません
 っ!」
「どちらも捨て難いですね・・・」
サリナの妄想劇に興奮している二人の側で、最後のポッキーを食べていると、廊
下から丁度二人分くらいの足音がする。そろそろ戻ってきてもおかしくないだろ
うと思っていると、予想通り妄想のネタになっていた当の本人達が帰ってきた。
「ただいまー。部長、このぐらいで大丈夫?」
「おかえりなさい、そうね、これくらいあれば充分だわ。ありがとう二人共」
さっきまでの雄弁な妄想語りっぷりなど忘れたかのように、サリナはいつもの部
長モードで対応する。その妄想に興奮していた二人はしれっとした顔ですっかり
冷めた紅茶を飲んでいた。
「いやー、遠かったなあ・・・あ、ポッキーじゃん!」
自分の席に座るなり、机に並べられたらポッキーの袋に気がつく。
「あっごめん!さっき最後の一本食べちゃった!本当ごめん・・・!」
「大丈夫だよワコ。ワコ甘いもの好きだしね。・・・・タクト、食べたいんだっ
 たらさっき貰ってきたのがあるからあげるよ、はい」
ワコに笑いかけてから、余ってしまったからどうしても貰って欲しいと言われて
貰った数本ポッキーが残る袋を取り出して、タクトに差し出した。
「おおっ、本当に!?ラッキー!じゃあ遠慮なく頂きます」
スガタの手にある袋からポッキーを摘まんで食べる。パキッと何ともいい音を響
かせて食べる周りで、ついさっきまで二人の男子部員で妄想していた女子達はそ
の光景をじっと見ていた。実際にポッキーゲームするまではいかなくとも、手づ
から食べるというのも、なかなかどうしていいじゃないか、と思いながら。
「どうした?部長、じっと見て」
満足げにポッキーを食べるタクトに指摘されて、わたわたと胸の前で両手を振りな
がら答える。
「え、あ、ああいや、何でもないのよ、ただ今日はいい日だなって思ってただけ
 で・・・・さ、さあ会議初めましょ、二人も帰ってきたことだし」
「そ、そうね、初めましょ」
女子部員のどこか焦ったような、気まずいような笑いにタクトが少し疑問を感じ
ながらも、いつも通り部活動が始まった。