僕のmonster Ⅱ
「共にと言ったのは貴方もあの子も同じでした。でも、貴方は人のまま吸血鬼である僕を傍らに置いて、あの子は僕と同じモノになり、同じ時を重ねることを望んでいるんです。・・・・ねえ、どうしましょうか。僕、柄にも無く悩んでいるんですよ。このままあの子の人としての生を奪ってもいいものかって。・・・ほんと、何百年と生きた僕が、やっと二桁をの年を重ねた人間にこうも悩まされるなんて、ね。貴方は笑いますか・・・?」
帝人は瞼を閉じる。
もう、声も、顔も、姿も朧げな、かつて共にいたひと。
愛したことは忘れない。
けれど今の帝人の中には、あの子が居るのだ。
かつて彼が居た心に、行くなと泣いて、見つけたと抱きしめたあの子が。
(いい加減腹をくくろうか)
帝人は瞼を押し上げ、ゆっくりと微笑んだ。
その笑みは異形に相応し背筋が凍るほど美しく、そして慈しみ溢れた笑みだった。
作品名:僕のmonster Ⅱ 作家名:いの