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そのうち慣れるから

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「はやくとるナツ〜!」
「だから、もういないって。これだけ探しても出てこないんだから」
「そんなことないナツ!まだモゾモゾするナツ!はやくはやくとってナツ〜っ!!」
 最後は涙半分で叫ぶナッツに、仕方なくココは捜索を続ける。
 捜し物はナッツの体に付着した虫。人間の姿の方がやりやすいので、震えるナッツを机の上に乗せ、指先でふかふかの毛皮をかきわけていた。
 店の在庫品を整理していたナッツが突然悲鳴をあげ、瞬時に元の姿へ戻って床をのたうち回りだしたときには、ココも仰天し駆け寄った。何か小さな虫のようなものが、髪の中に飛び込んできたのだという。
 気色悪さのあまり泣き叫び転げ回るナッツを捕まえ、慌てて2階の自室に運んだ。こんなところを入ってきた客などに見られたら言い訳ができない。それからずっと身体検査をしていた。
 ナッツは虫が苦手なのだ。
 耳の中から足の裏まで、ちょっと人には見せられないようなところまで念入りにチェックしても、ナッツの気は済まない。自分のどこかに虫が付いていると思い込んでいるのだ。
 ココもしばらくは、小さな体をぷるぷる震わせて我慢しているナッツをからかい楽しんでいたが、いい加減にうんざりしてきた。今は申し訳程度にちょいちょいと指先で突いているだけで、完全にやる気を失っている。
「い、いないナツかっ?」
「うーん、いないと思うけどなー」
「よくさがすナツ!おねがいナツ〜!」
 これではいつまでたっても終わらない。
 ココはふと思い立ち、いきなり大声を上げた。
「いたぞ!ナッツ、動くな!」
「ナツッ!?」
 硬直したナッツは真っ青になり汗をだらだら流す。
 ココは逆立ったしっぽの毛先をぱっと掴み、いかにも虫を閉じこめた風に拳をつくって、そのまま窓を開け外に投げる真似をした。
「それ、出て行けっ」
 本当は虫など見つかっていないのだが、効果は絶大だ。
 ナッツはへなへなと座り込み、涙ぐんで安堵の吐息をもらしている。
「ナツ…よかったナツー…」

作品名:そのうち慣れるから 作家名:あおい