二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

【00/ニルアレ】年齢逆転パロ

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 


戦闘行動に移行する旨をトレミーに知らせてバーニアを噴かせようとしたら、視界の隅を駆けていくカーキ・グリーンが目に入る。
それが、ロックオンの乗るGN-002デュナメスだと気づくのに数秒を要した。







『ロックオン!下がって!!』

アレルヤが自機のコックピットで通信端末に向けて声を張り上げてみたが、それでも先行する機体を止めるのはかなわない。
無論、本気を出せば己の搭乗するキュリオス以上の重武装であるデュナメスに追いつくのは簡単なのだが、その時アレルヤは驚きの方が勝ってしまっていた。
思わず加速するのも忘れて通信回線を開いてしまったのがいい証拠だ。

(陣形(フォーメーション)が台無しじゃないか、全く………!)

内心で小さく毒づくその視線の先にいるのは、今回コンビを組んだロックオン・ストラトスの乗る機体―――デュナメス。
本来は中長距離射撃による援護を主体とする典型的後衛型のガンダムであり、今回も、キュリオスより後方で援護射撃をする予定であった。

が、見ての通り、彼は戦術予報士の指示するフォーメーションを半ば無視して、前衛であるアレルヤの機体より前に出て行ってしまったのだ。

『ロックオン!!』

『そう大声出しなさんな。――――――聞こえてるさ』

茶化した風な声が聞こえたと思ったら、眼前の数キロ先で連続した爆発が起こる。
モニター映像からセンサー映像に切り替えて確認すると、どうやら敵の母艦のひとつを撃ち抜いたらしいということが分かった。
爆発が連鎖を起こしていたのは、彼の狙ったエンジン部が数基にわたって存在しており、それらが連動していたか、あるいは誘爆を引き起こす程に近くに存在していたのだろう。

急いで追いすがれば、デュナメスが母艦を撃ち抜いたのであろうスナイパー・ライフルを構えたまま、先ほどの一撃を逃れた敵機と相対する所だった。
何とか衝突する前に合流できたことにほっと安堵すると、アレルヤは自機―――キュリオスをMA形態からMS形態へと変形させてデュナメスより前方に出る。

説教は後だ。
次の一撃に向けたエネルギー・チャージを開始したデュナメスを一瞥すると、アレルヤは敵機の群れに突っ込むべくスロットル・バーを思い切り前方に倒した。









戦闘は、最初のプランから外れたために少々苦戦を強いられた。
事あるごとにデュナメスが敵に接近されて剣を使い、射撃による援護がたびたび中断したせいもあるが―――一番大きかったのは、アレルヤの動揺とロックオンの機体特性を考えない無茶な戦闘だった。

その上、使うまいと思っていた自らの装備―――クローまで使う羽目になるとは思いもよらず、アレルヤは小さくため息をついてから、通信端末の向こうでそのため息を聞いているであろう相手へと向き直る。

『ミッションプラン通りに動かないと、どこで計画が狂うか分からない。分かっている筈だよね、ロックオン』

帰還の道すがら、先刻の無茶がたたって脚部を損傷したデュナメスをコンテナに乗せて飛びながら、アレルヤは嗜めるような口調で話し始めた。
それは、普段穏やかな彼らしくない、低くすわった声音だったのだが――――眼前の少年…というには既に青年に近い風貌であるロックオンには効いていない。
飄々とした笑みでその言葉を流すと、『結果的には成功したんだからいいんじゃないの』と返す始末だ。
だが、その一見ふざけたようにしか見えない態度や言動とは裏腹に、瞳ばかりがぎらぎらと鋭く輝き、剣呑としている。
それは、戦闘ミッションがある度に見られるものだった。

『結果の問題じゃないよ。フォローする僕の身にもなってくれないかな?』

『……そりゃ、悪かった』

頭が冷えてきたらしい。
あのぎらついた瞳が少し収まり、ようやく殊勝な言葉が口の先から出てきたのを確認すると、アレルヤはようやく戦闘が終了したかのように、ロックオンには気づかれぬようほっと息をつく。



まだ二十歳にもならない彼は、どうにも戦闘では妙に熱くなり、先走るところがある。
冷静な時には実年齢以上に頼りになる存在なのだが、ひとたび戦闘になると、ミッションプランを無視した戦略や行動を起こし、コンビを組む相手を困らせてばかりなのだ。

とうとうティエリアからは「君との共同ミッションはお断りだ」と宣言されてしまい、刹那に至っては共にミッションプランを無視することさえある。
困り果てた戦術予報士スメラギは、何かにつけて年長者であるアレルヤにこの聞かん坊の相手をさせるようになった。

(これだけ痛手を食らったんじゃ、整備士の皆は勿論、ティエリアのカミナリも覚悟しないといけないなぁ)

同じことを考えていたのだろう、ロックオンも苦虫を噛み潰したような顔で無理やり笑っているのが見えた。




















■                           ■




















予定より遅く帰還したアレルヤとロックオンは、着替えるべくほぼ同じようなタイミングで更衣室へと入った。
遅くなった理由は、敵偵察部隊に見つからないよう、注意深く飛んでいた為だ。

疲れはしたものの、目下一番の懸案であったティエリアが別のミッションにより不在になっていたのは不幸中の幸いだった。

「―――――ふぅ」

使わなくてもいい神経を使いまくったアレルヤは、疲労の為か少し荒っぽくヘルメットを取り去る。
途端、かきあげていた前髪がばさりと落ちてきて―――すぐに彼の表情を半分隠してしまった。
知らずうちにかいていた汗も同時に周囲に散って、きらきらと光っている。

この私設武装組織ソレスタルビーイングに所属するようになって数年、最初の頃はしばしば精神的な甘さや弱さが悪い方向に働いてしまったりして、窮地に陥ったり機体をうまく活用できなかった。
だが二十歳を超える頃になってから、彼は急に戦闘に対する精神的なムラがなくなり、今までの自分を吹っ切るかのように前髪を上げた状態で戦闘に臨むことが多くなった。
二十四を数えるようになった現在では、戦闘時に前髪を上げることが当然になっている。

戦闘時、妙に厳しい表情に見えるアレルヤだったが、普段は右半分が前髪で隠れていて、その眼差しはあれだけ苛烈な動きを見せるキュリオスのパイロットなのかと疑いたくなるほどに穏やかだ。

(あれで、敵撃破数が刹那とほぼ同数だってんだから―――――すごいもんだ)

普段の彼を知るロックオンは、同じくヘルメットを取りながら、アレルヤをじっと観察する。
戦闘中あれだけ厳しい言葉を投げつけてきた年上の彼は、普段は穏やかに周囲を見守っているだけで、とても戦う人間とは思えない。

疲れてさえいなければ、例えしかりつけた後でもロックオンに笑いかけてみせる程の人物なのだ。
今は、移動距離が長かったがゆえに、アレルヤはこちらを振り返らないが。
自業自得だと分かっているのだけれど、ロックオンはそれが面白くない。

無茶をやらかすのはどうにも直しがたい。