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Summer magic

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『Summer magic』




「やぁ、ハンガリー!今日も眩しいくらいに綺麗だね…お兄さん今晩空いてるよ…babe」


いきなり後ろから私の肩を抱いてきた男は聞き慣れた声でそういつもの軽口を叩いた。


「フランスくん、その手どけてくれるかしら?」


振り返ればそこに立っていたのはいつもの悪ガキ三人組。ガキと言うにはいささか歳を食っているだろうか。とりあえずよく見慣れた顔がそこに並んでいた。


現在、学園は夏季休暇中。久しぶりに顔合わせたせいか、みな少し変わったように見えるのはよくある夏休み現象というやつだ。私の肩からそっと手を引いたフランスくんはセーシェルちゃんと彼女の実家での旅行を楽しんだのか見事に日焼けているし、その隣にいたスペインちゃんは夏野菜の収穫時期だと言ってこれまた綺麗に日焼けをしていて、彼はもともと浅黒い肌だったけれど、ますます男らしさが増した感じがする。


「せっかくの夏休みだってのに男だらけのつまんない毎日…うちのセーシェルは旅行から帰ってくるなりどっかの馬鹿と毎日補習。ああっ、邪魔しに行きたい…!」


「イギリスくんに怒られるわよ……出歯亀はよしなさい」


「…どういう意味だ?ハンガリー…ま、ま、まままさかセーシェルとあいつが…」

一人わなわなとその顔を真っ青に染めている彼を放っておいて、私はきょろきょろと辺りに視線を彷徨わせた。

…?あいつは…


「プロイセンは?」


さっきまでフランスくんの隣にいたはずのプロイセンがいない。せっかく久し振りに会ったのだから、ちょっとくらい挨拶してやろうかと思ったのに…


「ん?あれ?おい、プロイセンはどうした?」


「あいつならさっきちょっと買い物行ってくるー言うて、あの店行ってもうたでー」


そう言ってスペインちゃんが指差した方を辿っていくと、反対の通りに立ち並ぶ店の中のひとつ、洋服屋さんが目に入った。可愛らしい外装のそれは明らかに男ものが売っている雰囲気はしない。ショーウィンドウから覗く人形たちが着るのは、もうすでに数か月先の秋の装いで、今年の流行色を取り入れたニット素材の薄手のカーディガンは実に私好みである。


「なんであいつがあんな店行くのよ…」


「そういやあいつ、最近妙に色気づいたよなー。彼女でもできたのか?」

作品名:Summer magic 作家名:もいっこ