死してもなお・・・
俺は新宿のネオンを、己のオフィスから見下す。窓に映る自分の顔にある包帯やガーゼがうっとうしい。
あの後、新羅に治療されながらおかしな事をあの藪医者は言っていた。
『セルティがさ、帝人くんの姿を見たって言ってるんだよね。なんでもその姿を追って君を見つけたんだって!
まったく・・・。こんなまか不思議なことがあるなんて本当に面白い世の中だよ』
俺は、そう遠くもない池袋の方向を見つめる。
もう、二度と会うことのない少年は、死してもなおこの俺を心配していたというのだろうか。
死してもなお、彼は彼を保っていたと言うことなのだろうか・・・。
「本当に、君にはかなわないな・・・」
俺は窓に額を当てながら、歯を食いしばった。