【東方】東方遊神記12
「よし・・・話もまとまったね。じゃああたしらはいい加減早苗の所に戻るよ。宴会の日時とかは、また後で知らせるから」
「ええ。楽しみにしていますね」
「 あっ!ごめん神奈子、最後にちょっと美理に用事があるんだ」
肝心なことを忘れていたといったように諏訪子はトテトテと美理の方に近づいていった。一方の美理は神奈子の言葉を聞いてからずっと、深く考え込んだ状態になっている。なので、神奈子たちが帰るとなっても、なにもアクションをおこさなかった。当然今諏訪子が近づいてきているのも気が付いていない。達人である美理がこれでは面目が立たないのだが、これは諏訪子に邪気、殺気が全くないのも要因の一つである。
「う~ん・・・隙だらけだな~。これじゃつまんないな。よしっ」
そう思った諏訪子は少しばかり殺気を滲ませた。あくまで諏訪子基準の『少しばかり』である。また青蛙神のトラウマが蘇る。思案の穴に入りこんでいた美理もさすがにこれには気付き、はっとなった。諏訪子はそれを見てから攻撃・・・という名のチェックを開始した。これは諏訪子としてはとんでもないハンデを与えている。美理もなんとか一撃をかわした・・・様に見えたが・・・。
「・・・全然ダメ。話にならないよ」
諏訪子が心底ガッカリといった感じに溜め息混じりに言った。しかし、美理は今の集中していない状況の中で、完璧に諏訪子の一撃をかわしている。
「諏訪子様・・・?」
「今の状況でよく反応できたね、とでも言ってほしいの?悪いけど、御影ちゃんの側近を務める人がこの程度だったら、そう遠くない未来に御影ちゃんは殺されちゃうかもしれないね」
諏訪子がまた覚醒モードに入っている。辛辣な言葉は美理の心をザックリと刺した。
「なっ・・・!!」
「僕自身が言うのは馬鹿らしいけど、美理に現状を知っておいてもらうために、あえて説明するよ。今の美理は、本当だったら僕の攻撃で3回は死んでたよ。それも、易々と急所を突かれてね」
そう言われた美理の体をよく見ると、諏訪子がつけたもので、額と首の部分に擦り傷、そして心臓の部分の服が少し破れていた。
「部下の将来の心配より、もっと考えなきゃいけないことがあるんじゃないの?」
口調は直っていないが、諏訪子は美理に抱きつきながらニコッと笑った。これは強烈な皮肉である。
「・・・おっしゃる通りです」
美理は腹の底から絞り出すように、やっとそれだけ言った。
「きみが椛のことにそんなに執着する気持ちも、僕は理解してるつもりだよ。でも」
諏訪子は美理から離れ、神奈子の方へ戻りながら、最後に
「責任という言葉を、自分の都合の良いように解釈しちゃだめだよ」
今の諏訪子の言葉に神奈子の表情が一瞬険しくなった。
「じゃあね、御影ちゃん。あと文ちゃんも、お手紙の件よろしくね」
「・・・邪魔したね」
「それではな」
青蛙神は空気を読み、このことに関しては何も口を挟まなかった。三人はそれぞれ一言挨拶をして、謁見の広間を出て行った。
「さて、じゃあ早速今日のことを仮稿にまとめますので、私もこの辺で失礼します」
文も御影に一礼して、出て行った。心なしか、後姿がウキウキしていた。そして、謁見の広間には御影と美理の二人になった。
「ええ。楽しみにしていますね」
「 あっ!ごめん神奈子、最後にちょっと美理に用事があるんだ」
肝心なことを忘れていたといったように諏訪子はトテトテと美理の方に近づいていった。一方の美理は神奈子の言葉を聞いてからずっと、深く考え込んだ状態になっている。なので、神奈子たちが帰るとなっても、なにもアクションをおこさなかった。当然今諏訪子が近づいてきているのも気が付いていない。達人である美理がこれでは面目が立たないのだが、これは諏訪子に邪気、殺気が全くないのも要因の一つである。
「う~ん・・・隙だらけだな~。これじゃつまんないな。よしっ」
そう思った諏訪子は少しばかり殺気を滲ませた。あくまで諏訪子基準の『少しばかり』である。また青蛙神のトラウマが蘇る。思案の穴に入りこんでいた美理もさすがにこれには気付き、はっとなった。諏訪子はそれを見てから攻撃・・・という名のチェックを開始した。これは諏訪子としてはとんでもないハンデを与えている。美理もなんとか一撃をかわした・・・様に見えたが・・・。
「・・・全然ダメ。話にならないよ」
諏訪子が心底ガッカリといった感じに溜め息混じりに言った。しかし、美理は今の集中していない状況の中で、完璧に諏訪子の一撃をかわしている。
「諏訪子様・・・?」
「今の状況でよく反応できたね、とでも言ってほしいの?悪いけど、御影ちゃんの側近を務める人がこの程度だったら、そう遠くない未来に御影ちゃんは殺されちゃうかもしれないね」
諏訪子がまた覚醒モードに入っている。辛辣な言葉は美理の心をザックリと刺した。
「なっ・・・!!」
「僕自身が言うのは馬鹿らしいけど、美理に現状を知っておいてもらうために、あえて説明するよ。今の美理は、本当だったら僕の攻撃で3回は死んでたよ。それも、易々と急所を突かれてね」
そう言われた美理の体をよく見ると、諏訪子がつけたもので、額と首の部分に擦り傷、そして心臓の部分の服が少し破れていた。
「部下の将来の心配より、もっと考えなきゃいけないことがあるんじゃないの?」
口調は直っていないが、諏訪子は美理に抱きつきながらニコッと笑った。これは強烈な皮肉である。
「・・・おっしゃる通りです」
美理は腹の底から絞り出すように、やっとそれだけ言った。
「きみが椛のことにそんなに執着する気持ちも、僕は理解してるつもりだよ。でも」
諏訪子は美理から離れ、神奈子の方へ戻りながら、最後に
「責任という言葉を、自分の都合の良いように解釈しちゃだめだよ」
今の諏訪子の言葉に神奈子の表情が一瞬険しくなった。
「じゃあね、御影ちゃん。あと文ちゃんも、お手紙の件よろしくね」
「・・・邪魔したね」
「それではな」
青蛙神は空気を読み、このことに関しては何も口を挟まなかった。三人はそれぞれ一言挨拶をして、謁見の広間を出て行った。
「さて、じゃあ早速今日のことを仮稿にまとめますので、私もこの辺で失礼します」
文も御影に一礼して、出て行った。心なしか、後姿がウキウキしていた。そして、謁見の広間には御影と美理の二人になった。
作品名:【東方】東方遊神記12 作家名:マルナ・シアス