あいらぶまいふぁみりー!
ほら、どーんと!と背中に幽を引っ付かせたまま、帝人は両手を広げた。
受け入れ態勢万全である。
幽は無表情で兄の動向を見守っている。
帝人はにこにこと両手を広げている。
静雄はだらだらと汗を流している。
何とも三者三様な光景だが、平和島姉弟にとっては日常であり、ある意味学校でも見慣れてしまった光景だ。
ゆえに、結果は見えていた。
「ああもう!」
吠えつつも、がっしりとした腕は小柄な帝人をすっぽりと収めた。
「やっぱり羨ましかったんだ」
「う、うるせぇッ」
「ふふ、寂しかったらいつでもどんと来いですよ。幽と静雄なら大歓迎ですから」
前と後ろから抱きしめられた帝人はそう言って、彼らが大好きな笑みを見せる。
弟達は顔を見合わせ、敵わないなと照れ臭そうに笑った。
平和島姉弟は昔からたいそう仲が良いと評判だった。
今でもそれは変わらない。
弟達は姉を愛し、姉もまた弟達を愛する。
それが彼らには当たり前のことなのだから。
作品名:あいらぶまいふぁみりー! 作家名:いの