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春の嵐

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折原臨也は迷っていた。それは今が千載一遇のチャンスであるからだ。自分にとっていちばん厄介な人物がアルコールの入った状態で泥酔という無防備極まりない姿をみせている。やるなら今かなぁと隠しポケットのナイフをひとつ撫でる。その厄介な人物は友人宅のソファーでバーテン服のままくうくう寝息をたてていた。毛布をもってきたセルティが頼むから流血だけは掃除がめんどくさいからやめてくれとPDAで伝えてきたのを笑顔で追い返して、10分がたったくらいか。つまり彼は10分くらいそれを見ていることとなる。正直きもちわるい。

「シズちゃんさぁ、バーテンのくせにお酒弱いもんねぇ」

意識がない静雄に話しかけながらそっと右手の甲を彼の頸筋にあてたら、お酒のせいだろう、あたたかくて臨也はにやにやする。顔も火照っている、息もあつい。普段自分に見せることはない静雄の落ち着いた姿にすっかり臨也はどっきんどっきんしていた。今彼の中の迷いは1つ。やるかやらないか。殺るのではなくて犯るである。どうやら流血は静雄が起きない限りないけれど、それよりもっとセルティはじめ友人にとって迷惑極まりないことを臨也はやらかそうとしていた。ナイフは刺すためじゃない、抵抗されたときに使うものだ。それを世間的で強姦というのだが臨也はまったく覚えがないので質が悪い。だけども場所がなんとも悪い。このまま己の本能に流されたらきっと二度とこの家の敷居はまたげないだろう。それはちょっとまずい。なんだかんだで新羅には大変世話になっているし助けられている。例え鍋パーティに呼んでもらえなかったって・・・・。


今夜臨也が新羅の家に来たのはちょっとした油断で逆上した、いわゆる<客>に傷を負わされたからだ。彼は静雄と違って筋肉は人並みなので刃物が触れたら血もきちんと出る。だけど彼の頭脳は人より少し悪い意味で良いので、ちゃんと逃げのびてきたわけだが。
そうしたらどうだ、普段ぎゃんぎゃんうるさい男が泥酔して寝ているときた。どうしているのか知らないけれど、これはチャンスだと手当てもそこそこ新羅もセルティも放ってずっと静雄を見つめているわけである。新羅は新羅で臨也の倒錯的な感情を知っていたので、放ってはいるものの、神経だけは別室でとがらせていた。だっておまえ人の愛の巣でやめてくれというね。
作品名:春の嵐 作家名:萩子