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【APH】赤い実を舐める【露普】

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「ギルくんギルくん、」
「なんだよ?」
「僕ね、君が好きだよ?」
「…はぁ」




赤い実を舐める




僕はとっても嬉しかったんだ
こんな寒いところだけど新しい住人が増えた
彼は今はソファに足を投げ出して読書の真っ最中だ
僕は座る場所がないから、仕方なく彼の横に立つ
最初は全然僕に構ってくれなかったけど、最近はよく僕の話し相手になってくれる
ギルくんは小柄だ、僕と並ぶと低い位置につむじが見える
その銀色の髪はきらきらしていて朝に窓から見る雪原みたいだ
そう思ったら嫌いだった雪もそんなに嫌いじゃなくなった
ギルベルトくんは真っ直ぐだ、彼は僕のことをちっとも怖がらない
たとえ僕が感情的に衝動を持て余して手をあげても、不安定な奴だなと笑って僕を撫でてくれた
誰だって不安定な時期はあるんだ、そう言うのを見て僕は何回も反省した
ギルベルトくんが僕のところに来たのは彼の弟のため
でも別にそんなのはどうだってよくて、本当に僕は嬉しかった

「ギルくん、」
「なんだよ、イヴァン」
「ロシアンティーが飲みたいなぁ」
「…お前が持って来たら、一緒に飲んでやる」
「ふふ、ありがと」

お兄さん、というのがいたらきっとこんな感じなんだろうと思う
僕は楽しくなってキッチンへ向かった
今日はティータイムに丁度いいケーキがある
木目の戸棚から二切れだけ取り出して、またぱたんと閉めた
たっぷりクリームにストロベリーソース、ラズベリーに大振りの苺
真っ白いお皿の上に置くと赤い色がずっと際立つ
お揃いのカップを2個とまたお揃いのポットを銀のトレーに乗せて、来た道を戻る
濃い目の紅茶はもう注いであるし、甘い苺ジャムとスプーンも忘れてないから大丈夫
ご機嫌でキッチンを後にする時トーリスに驚かれたけど、そんなこと別に気にしない
廊下は薄暗いし、静かだし人気もないし、とにかく寒い
足音を消す程にふかふかした赤絨毯を足早に歩くと、ギルくんがいる部屋の扉がおもむろに開いた

「両手、ふさがってんだろ? 寒いから早く入れよ」
「優しいね、ギルくんはどうして僕が来たの分かったの?」
「足音消したくらいじゃ気配は消えねぇよ、騎士団なめんな」
「わぁギルくんかっこいいなぁ」

テーブルにトレーを置いてから、ソファにどっかり座った彼の手をわざとらしく取って頬を寄せた
部屋にいたはずのギルくんのほうが、僕よりも手が冷たい
彼は空いてる手でジャムを舐めている
銀のスプーン一杯、煮詰められた艶やかな赤は口の内で苺の香りをまき散らす
一通り舐めるとギルくんはカップを手にとって、ごくり、ゆっくり傾けた
一口目が喉を通る、舌の上を通過した飴色はこくんと喉を落ちていく
だけどすり寄っている手はすぐに暖かくならなかった

「っくく、それじゃ騎士道がなってねぇぞ」
「じゃあ、どうすればいい?」
「そうだなぁ… まず片膝ついて、それから恭しく手をとる、で、」
「ギルくん好きだよ、」

言われた通りにしゃがんでから、真っ直ぐ、赤い目をはっきり視界に捕らえる
上目づかいに見上げて告げると、ギルくんは目を見開いた
体が強ばったのが握っていた手から伝わる

「イヴァン、」
「好き、ねぇ大好きだよ」

ギルくんが一言しゃべる度に、苺がふっと香る
いつも爛々と輝いている赤い目がどこか潤んでいる
その目はテーブルのケーキの苺よりずっと、艶やかで
みずみずしい果実に惹かれて、思わず瞳を舌で舐めた

「ギルくん、甘くないね」
「んっ…、な」
「しょっぱい。目、苺みたいなのに」
「あっ、当たり前だろ!」

手からカップを取り上げて、テーブルに追いやる
そのままそっと覆い被さり、また舌でなぶる
抵抗を続ける細い体がぶるりと震え、ベルベット生地のソファに銀糸が広がった

「ギルくん、気持ちいいの?」
「は、…ばか、気持ち悪ぃんだっ」
「僕は好きだよ、甘そうで。目、閉じないでね」
「んぅ、…ぁ、むり」

膝で足をわり開いて、内股をなぞると面白いくらい体が跳ねた
両手でしっかり固定したギルくんはもう僕に好きにされるしかない
別に押し倒すのは初めてじゃないし、数えるのも面倒なくらいだ
薄く開かれている赤い右目から涙がこぼれる
きっとさきほどの異物感からだ
それ以外の意味なんて、何一つ持ち合わせていない
何だか腹立たしくて乱暴にシャツを乱していく
晒された赤黒い鬱血痕を指で撫でながら、舌で赤い目を犯す
仄暗い快感が体中を満たしていた

「ギルくんの眼、欲しいなぁ… ふふ、僕のこと怖い、ねぇ怖いでしょ?」
「ふ…ざけ、んなっイヴァンやめッ」
「ほら、力じゃ僕に敵わないくせに! すごく無様だよ、ギルベルト!」

悪戯に白い犬歯を首筋に這わせると、本気でぐっと押し返される
思わず赤い目を伺うと、燃える目
燻ぶるような、爆ぜるものを孕む、射抜く瞳の人
何度見つめられても、慣れることはない
ギルベルトバイルシュミット、この男は僕を歓喜で震えさせる
いつだって僕の心臓を、ぜったいに外さない

「怖がったらしょげるくせに、わざと煽るんじゃねぇこのガキが!」

血が逆巻いてより濃くなった赤が、僕のマフラーを引っ張って牙をむく
荒い吐息が近くなったと思ったら暖かく湿った舌が、視界いっぱいに広がって僕の目にキスをした

「はっ、俺様が怖いか?なぁイヴァン?俺だって食っちまうぜ?なぁ!」
「僕を欲しいの?」
「狂ってんだろ?歪んでんだろ?」
「ふふっ、ぜんぜん。ふふふ、まだ足りないくらいだよ、もっと」

おかしくて思わず笑うと眼の前を紅茶のしずくが零れていく
ギルくんの左手には空っぽのティーカップ
ぽたりぽたり、ぬるくなったロシアンティーは僕を伝ってギルくんに落ちる

「笑ってんじゃねぇよ、こっちはマジなんだ」
「…じゃあ全部捨てて、全部あげる!出来ない癖に!」

もう一度、思いっきりマフラーを引っ張られ、ギルくんの上に倒れこむ
息が出来ない程苦しかったのに、両腕を背中に回されると窒息してもいいと思える

「ちくしょう… なんでお前なんか、嗚呼…、一番駄目じゃねぇか」
「後悔してる? …怖い?」
「死ぬ程、な。早く止めを刺さないと心変わりするぞ?」

伏せられた瞼にキスをして、濡れ光るそこにもう一度キスをする
ふるりと震えはじめた体が、心から来るものだと知っている
僕からも抱きしめて、二人で違う心音を合わせるけれど、やっぱり違う
響くのはまるで不協和音、同じ鼓動は刻まない
分かってるから、僕は言葉で伝えなきゃいけない
欲しくて欲しくて堪らないと、無理矢理奪うだけじゃ駄目なんだ

「僕、ギルくんが欲しいなぁ…」
「今までずっとそうじゃねぇか」
「違うんだ、あ… 愛してほしいな」

捨てられた子犬みたいだぞお前、そう言ってギルくんは笑う
首筋にぐりぐりすると、髪を乱暴にわしわし撫でられた

「あー、お前はそうやって甘えてるのが一番だぜ」
「…うん、ギルくん好き、もういじめないから」
「その時はまた俺が止めてやるよ」
「うん…」
「よし!」

頭を撫でてあやされてたと思ったら、また突然マフラーを引っ張られる
せっかく押し倒してたのに結局ソファからも降りて引っ張られる始末