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Marriage proposal

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しおしおと小さくなる帝人に、四木は一瞬目を見開いたかと思うと、ぶっと噴き出した。
「はは、見苦しいだなんてとんでもない。とても可愛らしいですよ、君は」
「っ、・・・ありがとう、ございます」
女の子は可愛いに弱い、と思う。
それが例え社交辞令でも、子供に対しての可愛いでも、大人にしかも憧れる男の人に言われれば照れくさくてもやはり嬉しい。
面映ゆそうに笑う帝人を四木は常とは比べ物にならないぐらい柔らかな視線で見つめる。
もしここに普段の四木を知る者が居れば「誰!?」と思わず叫ぶぐらいにその表情は甘やかだった。
「竜ヶ峰君」
「はい?」
「先ほど、この状況がおかしいと仰いましたが」
「あ、えっと変な意味じゃなくて、その」
「わかりますよ。どうせ誰かに色々と言われたのでしょう?」
「う、・・・・はい、すみません」
「貴方が謝ることではありませんよ。その点についてはどちらかというと私に非があるでしょうから」
「え、」
ぱちりと瞬いた大きな眸に四木はうっすらと微笑んだ。
骨ばった大きな掌がテーブルにのせていた帝人の手を掴んだ。
自分よりも低い体温が左手から伝わり、触れたという意識が一気に脳を浸透し、顔の真ん中から熱が放出された。
「君の自覚を待つよりも、私の辛抱が足らなくなったようだ」
そう言って、左手の薬指の付け根を撫ぜる指先に、帝人の全神経が集中する。
(まさか)(でも)(だって)
頭の中で疑問が湧き出て、期待が過り、否定を繰り返す。
そんな帝人を四木は楽しげに、けれどいつもとは違う笑みで見つめ、触れ合っている手とは別の手を差し出した。
蒼の眸が、瞠った。

大人の掌にちょこんと載せられた、指輪。

四木は微笑む。

紛れも無い、男の顔をして。



「私と結婚を前提にお付き合いをしませんか?」




翌日、帝人が付けるネックレスに通された指輪に気付いた幼馴染が絶叫を上げることも、その数年後、指輪の位置が左手の薬指に代わることも、今の帝人には想像することもできなかった。
少女の意識は目の前の大人のことでいっぱいいっぱいなのだから!






(下心を隠すのも大人の恋愛テクニックなんです)
作品名:Marriage proposal 作家名:いの