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【酔っぱらいの結果論】

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 くすぐったさに思わず肩を震わせると、アメリカは神妙な面持ちでイギリスを見つめていた。震えた肩を包み込むようにやんわりと掴むと、彼はいつになく真剣な声音で、ごめん、ともう一度呟く。それ程彼が気に病むとは思っていなかったので、イギリスは俄かに困ってしまう。
 不意に、視界がぐらりと歪んだ。
 ああ、また押し倒されたのか。眼の前のアメリカの背後には、天井が見える。
 「アメリカ…?」
 咄嗟に昨夜の出来事が脳裏をよぎって気恥ずかしく感じてしまったのだが、それを隠すように、極力惚けたようにその名を呼ぶ。アメリカは、少し苦しそうに呟いた。
 「酔った勢いなんて、最低だと思うよ。でも」
 唇に、触れる。彼の唇が、言葉ごと。
 「でも、血迷い事でも何でもない。全部本音で、ごめん」
 重なったままの唇に触れたアメリカの吐息も、声も、じわじわとそこから身体に染み込んでいくような不思議な錯覚を覚える。昨夜の深いそれとは違う、ただ触れるだけの口付けなのに驚く程身体の奥底の熱が、ぐん、と上がった気がした。
 (ああ、そっか)
 その感覚に震えながら、イギリスは思う。
 昨日、彼を最後の最後まで拒めなかったのはきっと、嬉しかったからだ。たとえ酔っていたとしても、好意的な言葉を与えられたのが、堪らなく嬉しかった。最後の最後で拒んでしまったのは、嬉しい筈のその言葉が、紛い物だと気付かされるのが怖かったから。
 腕を伸ばすと、やんわりとアメリカの頬を掌で包み込んだ。
 離れて行こうとする唇を追いかけたのは、多分、きっと。





 (参った。こいつに甘いのは、惚れた弱みだったなんて)