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りゅーがみねみかど3さいでしゅ!

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新羅とセルティは全く同じタイミングで思った。

((天使がいる・・・・!!))

二人の目の前には、手違いで新羅がふざけ半分で作ってしまった退行の薬を飲んだ竜ヶ峰帝人が、高校生から3歳児の姿になってほえほえと笑っていた。
「えっと、帝人くん・・・?」
「あい!」
元気よく手を挙げる姿に二人揃って身悶える。
どうやら記憶まで退行しているようだ。
しかし見知らぬ大人が(しかも一人はヘルメット着用)居ても動じない人懐っこさと図太さは、高校生の帝人を連想させる。
どうやら生まれ持ってのものらしい。
((可愛いから良し!))
「おねーしゃんおねーしゃん!」
【・・・はっ、私か!?】
「おねーしゃんはねこしゃん?」
【ね、猫?】
「みみ!ねこしゃんのみみー。かぁいーねー」
気が付いた時にはちっちゃい帝人を全力で抱きしめていた。
【お前のほうが何億倍もかわいいぞ!】
「きゃあ!」
だっこしてもらえて嬉しいのか楽しいのか、きゃらきゃら笑う帝人に、新羅とセルティの萌え度の上昇は天井知らずだ。
「知らなかったよセルティ。帝人君って天使だったんだね」
【そうだな、帝人は天使だ】
二人の中で竜ヶ峰帝人は可愛い我が子のような存在から天使に昇格した。






****


「おでかけおでかけっ、うれしいな~♪」
セルティに抱っこしてもらいながら、にこにこと帝人(3歳)は人込みを興味深そうに眺める。
何故抱っこしているかというと、降ろしたが最後、好奇心赴くままに帝人がちょろちょろするからだ。
知性があまり無い分、高校生の帝人より達が悪い。
しかし迷子防止で抱っこしているセルティにもし首があったら、すごく笑顔であることは間違いないだろう。
曰く、高校生だとそう簡単に抱っこさせてもらえないからな!らしい。
「しぇるしゃん!はと!」
【ああ、ハトだな】
「はとぽっぽー」
あらゆるものに可愛い反応する帝人にセルティはもうでれでれである。
そんな二人に声を掛けてきた者がいた。
「よう、セルティ。・・・・・・・仕事趣旨変えしたのか?」
セルティの腕に抱かれた子供に、静雄はサングラスの下の目を僅かに瞠った。
くりくりの大きな蒼い眸でじいっと眺めてくる顔に見覚えあったからだ。
というか、これは・・・・。
「お、おい、セルティ。もしかしてこいつ・・・」
【ああ、この子は】
セルティが説明しようとした時、腕の中の帝人が輝く笑顔を見せた。
「らいおんしゃん!」
「は?」
【ライオン?】
帝人は静雄の金髪を指差し、再度「らいおんしゃん!」と言った。
「俺のことか・・・?」
【だろうな。ちなみに私は猫ちゃんだった】
「猫・・・・」
「おにいしゃん、らいおんしゃんみたい!いろおんなじー」
「色・・・・」
「かっこいーね!」
「!!」
闇夫婦を陥落させた笑顔は静雄にも有効だったらしい。
【可愛いだろ可愛いだろ!天使だろ!!】
「むしろ犯罪級だぜ・・・!」
【当たり前だ!何てたって帝人だからな!】
「成程、だからこんなに可愛い・・・・・・・帝人!?」
「あいっ。りゅーがみねみかど3さいでしゅ!」
後日談だが、その日ネットでは池袋最強を打ちのめした幼児がいたという目撃情報が相次いで寄せられたらしい。
「新羅の薬でなぁ・・・・・」
セルティからこれまでの経緯を聞いた静雄は、帝人になんてものを!と怒るべきか、グッジョブと称えるべきか悩んだ。
だがすぐに帝人の可愛い子供時代(高校生でも十分可愛いが)を見れたのでいいかと結論した。
とりあえず新羅の生命の危機は去ったようである。
ちなみに帝人(3歳)は静雄に肩車をしてもらって、きゃらきゃらと楽しそうに笑っていた。
「おっきいねー!みかどいちばんおっきくなってる!」
「良かったな、帝人」
「うん。ありがとー、しじゅしゃん!」
セルティは持参したデジカメで撮影係に徹していた。
もちろん静雄はその画像を後で貰うと交渉済である。
「はー、みかどもおとなになったら、しじゅしゃんみたいにおっきくなれるかなぁ?」
「んー?お前でっかくなりてぇのか?」
「うん。おっきくなって、ちゅよくなって、おかーしゃんもおとーしゃんもともだちもみんなみんなまもるの!」
「そうか、偉いな」
「えへへー」
そのままでいてくれ!と思う反面、がんばれよと応援したくなるのが不思議だ。
というか帝人ならもう何でもいい。
可愛いは正義!
都市伝説と池袋最強の心を一つになった。




その後、静雄とは仕事があるからと別れた。
少し、というかものすごく名残惜しげだったが、帝人の「おしごとがんばって!」と一言に、静雄は「任せろ!」と息巻いて仕事へと向かった。
セルティは取り立て相手が死なない程度にがんばれとPDAに打ち、帝人と共にやる気に満ち溢れた喧嘩人形の背を見送った。
「しぇるしゃん、ちゅぎはどこいくのー?」
【みかどはどこ行きたい?】
「んーとね、・・・・・・・あ!」
突然帝人があらぬ方向を指さした。
セルティは無い首の代わりに猫耳ヘルメットをぐるりとその方向へと向ける。
そして思わず(げ)と心の中で呟いた。
子供の教育上良くない、そして帝人にはかなり近づいてほしくない相手が居たからだ。
その名も折原臨也。
自称素敵で無敵な情報屋である。
中身は最悪で最低で見た目も中身もまっ黒な人間だ。
「やあ、運び屋。珍しいもの抱えてるじゃないか。依頼品かい?」
帝人を物扱いされて苛っときたセルティは反論しようとPDAを掲げようとしたが、帝人の興奮した声に遮られてしまった。
「まっくろくろすけ!」
「は?」
「しぇるしゃん、まっくろくろすけがいるよ!」
【ああ、黒いな。帝人、こいつは中身もまっくろなんだぞ】
「まっくろ!」
「・・・・・・おい、運び屋。子供に何吹き込んで・・・・・・・帝人?」
「あい!」
自分の名前に反応したのか、良い子の返事をした子供を臨也はまじまじと見る。
大きな蒼い眸。
思わず触りたくなるぷにぷにの頬と額。
何よりきらきらとこちらを見上げる視線が、あの臨也が愛してやまない童顔高校生とだぶるというかまんまじゃん!
「み、帝人くん・・・?」
「あーい!」
「・・・・・・・ああもう何こんな可愛くなってんの!?俺を殺す気?!!」
がばぁっと臨也に抱きつかれ、帝人が「きゃあ!」と声を上げた。
セルティが慌てて間に入ろうとしたが、臨也はそれよりも早くちっちゃな身体を抱き上げ、その場でくるくると回ってみせた。
帝人は最初は驚いていたが、やはり楽しそうにきゃらきゃらと笑っている。
やっぱり人懐っこさと図太さは人一倍の子供だ。まあ可愛いから良し。
「ぐるぐるまわりゅー!」
「画像でしか見たことなかったちったい帝人くんだー!新羅も良い仕事するじゃん!ただの変態闇医者じゃなかったんだな!」
子供をでれでれな情報屋は正直目の毒だが、帝人が楽しそうだから良いかと思うセルティである。
しかしこれだけは言いたかったので、PDAにぽちぽちと打った。
【お前にだけは言われたくない】
真理である。




帝人はご機嫌だ。
優しい(?)大人に抱っこされて遊んでもらえているので。
自称素敵で無敵な情報屋もご機嫌だ。