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【ヘタリア】 王様と俺様 1 Preußen Blau

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ギルベルトが強く大きくなる、ということは、プロイセン王国が強大になることと重なる。
「国」と「人の姿の国家」が一緒というのは、実に面白い。

「勝つか負けるかもいいが、問題は、どうやって「国」を強く大きくして、富ませるかだな。お前はさしあたって、何が欲しい?私に何を望む?」

「・・・・・んじゃあ・・・・・・さっき言ったやつ・・・・。長身兵どもだけどよ・・・なんとか食っていけるようにしてやれねえか?軍に置けねえならそれでもいいんだ。あいつらが仕事見つけて、あと、故郷の村に帰っても無駄飯食らいって、いじめられねえようにしてやれれば・・・・・・。」

「故郷に帰っていじめられる? どういうことかな?」

「ああ・・・・・わかんねえか。あのよお・・・・田舎の村はよお・・・・貧しくて・・・土地も痩せてて作物もうまく育たねえ。そんな村ではあいつらみてえによく食う奴は邪魔なんだ!それだけ働いてるってえのに、食いぶちが多いって言っていじめられるんだ。田舎はベルリンみてえに、仕事もねえ。畑を耕すしかねえんだ。帰ったって、また腹が減ってつらい毎日が待ってるだけなんだよ・・・。」

突然国王が立ち上がった。

「そこまで・・・・そこまで飢えているのか? 我が民は!!」

その剣幕にギルベルトは驚く。

「ってえかよ・・・。飢えてんのは・・・俺かもしれねえけど・・・。」

「・・・お前が飢える・・?!宮中ではちゃんと食事をとっているのだろう!」

「いや・・・フリッツ・・・・・俺が言いてえのは・・・。
俺は「国」だろう?俺がプロイセン王国だ・・・・。国の民の思いは俺の中にいつもある。
そん中に・・・・飢えてるって感覚がいつもあるんだ・・・・。あ、今に始まったことじゃねえぜ!プロイセンになる前の騎士団のときだって、餓僅が起きて何度も餓えたし、腹へってるのは「俺」じゃなくて「民」なわけだし・・。」

国王の剣幕にギルベルトはしどろもどろになってしまう。

「お前は・・・・お前と民はそんな思いをしているのか!」

フリードリヒの目から突然涙があふれ出した。

「ちょ、ちょっとフリッツ!!なんで泣くんだよ!ええっ?おい、どうして・・・その・・・」

「・・・すまない・・・・プロイセン・・・・!すまなかった!!そんな事・・・私は気付かなかった!」

ぽろぽろと涙を流す国王。

ギルベルトはどうしていいかわからず、おろおろしてしまう。
こんな事でフリッツが泣くなんて!!
そんなにひどい事を言った覚えはないのだが・・・。

「・・そうか・・・・我が民は飢えているのか・・・・・。軍事だ・・・・城だと・・・浮かれていた私は恥ずかしい・・・・・。すまない、プロイセン。」

「うええ、だから俺に謝んなよ!俺は別に食ってねえわけじゃねえし、い、いまでは、宮廷のうまい飯、ちゃんと食わせてもらってるぜ!」

「それでもお前はいまだに飢えを感じているのだろう・・・?国王たる、私の配慮不足だ・・・・申し訳ない・・・・。」

「だ、だ、だからよ!フリッツ!!俺は大丈夫だからよ・・・!」

決意したように国王は頭をまっすぐに起こす。

「わかった!解雇した長身兵は、ベルリン郊外の国営の薬草園や果樹園などで働いてもらえるようにしよう。村に帰れた者は、新しい工具や馬や羊・・・・そうだなもみ種などを提供しよう・・・・・。少しでも彼らの作物が多く取れるように、国策で考えるよ。」

フリードリヒは、涙をぬぐい、ギルベルトの頬を手で覆う。

「お前が餓えているなどと、私は考えたこともなかった・・・・・。私は国王なのだ。二度とお前にそんな思いをさせないと誓うよ。ギルベルト。」

「フリッツ・・・・・・・。」

ギルベルトもフリードリヒの額に自分の額をつける。

「・・お前が国王でよかったな・・・・。」

「そう思ってもらえるように、もっと努力するよ・・・・。どうやら私の知らない事はまだまだ沢山ありそうだ・・・・・。プロイセン・・・・・・お前も私にいろいろと教えてくれる・・・・・・ありがたい存在だ・・・。」

国王がギルベルトの頭をなでている。

こうして、子供のようにされているのも、フリッツなら嫌じゃない・・・・。
こいつは俺の言うことをわかって理解してくれる・・・・・。
俺の今までの上司の中で、こんな奴はいなかった・・・・。

「フリッツ・・・・・俺こそ・・・ありがとう・・・。」

ギルベルトが顔を上げると、国王の青い目がじっと自分を覗き込んでいる。

「まだ・・・・・お前がつらい事はないか?隠さなくていい。この際だから全部言ってごらん?」

「・・・なんにもねえよ・・・・他には・・・・・。」

「そうだろうか?」

国王の青い瞳はまっすぐにギルベルトに向かい、その真摯な視線は心まで届きそうだ。

「なんにも・・・つらい事なんかねえよ・・・。フリッツが王になってから・・・・俺は今まで一番、俺らしくしてられる・・・・・・・。それが嬉しい・・・。」


なんでも、受け止めてくれるだろ?お前は・・・・。
小さいひ弱な子供だったのに、あっという間に俺を追いこしていっちまいやがる・・・・。

「・・・では・・・お前の一番の望みはなんだ?」

「・・・・大きくなること・・・強く大きくなりたい・・・・。誰にも馬鹿にされねえような・・・・・。」
「そうか・・・・。それから?」

「それから・・・・・・・。俺は・・・・・。俺・・・。」

「俺・・・は?なんだね?」

「俺は・・フリッツと居たい・・・。一緒にいたい。お前がずっと俺の王でいて欲しい・・・・。」

思わず本音が口を出てしまった。

フリードリヒが息をのんでいるのがわかる。

「あ、あのよ・・・だから・・・いてくれるだけでいいんだ!その・・・・・。」

ギルベルトはフリードリヒに抱きかかえられた。

「わかったよ・・・プロイセン・・・・。なるべく・・・長く生きるとしよう・・。
私は人だから・・・・必ずお前よりも先に逝くがな。」

「逝くなんて言わないでくれ!!お前は国王になったばっかりじゃねえか!
お前くらい、俺の事考えてくれる王は今までにいねえんだ!だから、ちゃんと寝て、食って、元気でいてくれよ!!」

もう心に思っていることなど隠せなかった。
この美しい青い瞳に、何を隠せる?

「そうだな・・・・・ギルベルト・・・・・。お前の望みなら・・・・。かなえよう。」

「ほんとか?フリッツ!約束してくれ・・・無理しねえでくれ・・・・。俺は今のまんまでもいいんだ・・・・・。」

「約束しよう。ギルベルト。お前のために、私は長生きしよう・・・・。お前の望むことを、出来る限り、かなえるためにもな・・・・。」



***************************


フリッツは俺に約束してくれた。

それを守ってか、親父はよれよれになりながらも、最後まで、俺のために生きてくれた。

俺は忘れねえよ。親父。

いつまでも、親父の事を、親父がしてくれた事を覚えてる。
俺を褒めて、褒めて、褒めて、可愛がってくれたことを忘れねえ。

俺が今いられんのも、親父のおかげだ。