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ルパン三世パロを静帝で妄想してみた。

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 「その胸についてるのが作り物じゃくてお前のもんだったら、欲情してやるぜ」 

 つまり、胸が膨らんでようがいまいが、それが帝人のものでなければ眼中にないと。そういうことなのだろう。 

 あまりにぶれない答えに、さすがに帝人も顔を赤らめた。 

 「なんかもう、恥ずかしいです・・・」 

 「ちなみにいえば、小さい胸だって嫌いじゃない」 

 「あー・・そうですか・・・」 

 たまに、この率直さにはペースを乱されるなと思いながら。 

 (でも、分からないのがいい) 

 そんなことも思ってしまうから、正臣や彼女にはおかしいと言われるのだろう。 

 2人、誰も邪魔をされない場所で壁に背を預けながらただ話をする。手錠が嵌っていなければ、美男美女のその光景は眼福であるだろうがその違和感を知るものはいない。 

 しかし、捕まえた警察と捕まった犯罪者とは思えない穏やかな時を壊したのは、一人の男の声だった。 

 「あーっ、ミカちゃん。こんなとこに・・・急にどっか行くから探し・・・た・・・」 

 そしてその声は、帝人の隣にいる男を認識したところで止まる。 

 「げっ!静ちゃん・・」 

 心底嫌そうな声を発し、男は顔を引きつらせた。しかしそれは、相手の顔を確認した静雄も同じである。 

 先ほどまでのどこか幸せそうな表情から一変、額にはぴきっと青筋がきれいに浮かぶ。 

 「帝人・・・」 

 青筋を浮かべたまま、静かな声が帝人の名前を呼んだ。 

 「はい」 

 「連れってのは」 

 静雄の声は、まだ静かなままだ。・・・表面上は。 

 「臨也さんですよ。ちょうどいいのがいなかったんで」 

 当たり前のように言う帝人に、静雄の米神にまた一つ青筋が浮かんだ。 

 「あっ!静ちゃんなんで俺の帝人くんと手なんかつないでるのさっ!」 

 明らかに危険な状態になっていく静雄を煽るかのように、黒髪の男――臨也は唇を尖らせ抗議をした。 

 「せっかく帝人くんのかわいい姿堪能してたのに、そんな静ちゃんとの格好見たくなかったなぁーっ。なんでいるの?空気よめないの?」 

 心底馬鹿にしたような声に、ついに静雄の限界が突破される。 

 「てめぇっ!ノミ蟲っ!ぶっころす・・・・っ!」 

 静雄の意識が臨也へと向けられた。帝人と繋がっているから動きはしないが、そうでもなかったら飛び出して行っただろう。 

 帝人を抱えてでも、臨也を殴りに行こうか。そんなことばかりが頭を占めていて、だから気が付かなかったのだ。近くに、何時の間にか一人のメイド姿の女が立っていたことに。 

 眼鏡をかけたメイド。その手から、すらりと姿を現したのは1本の日本刀だった。気が付いたのは、メイドが日本刀を振りかぶったその瞬間。 

 「お前・・・っ!」 

 日本刀の名前は、罪歌。この世にあるものもないものも、切れないといわれている名刀・・いや、妖刀だった。 

 静雄が止める前に、罪歌が無言のまま振り下ろされる。瞬間的に帝人の手を離した静雄の腕のすれすれを、罪歌が通り過ぎていった。離さなければ、静雄の腕は罪歌によって切断されていたであろう場所を。 

 そして、壊された手錠が落ちる音が次に続いて・・・。 

 「あ、ありがとう。園原さん」 

 にっこりと例を言う帝人に、ようやく嬉しそうに園原と呼ばれたメイド姿の女は笑う。 

 「ううん。私も、いつまでもあんな姿見ていたくなかったから」 

 あんな姿とは、静雄と手を繋いだ帝人のことだろうか。うっすらとそう思いながらも、追求するのはなんだか怖い気がするので帝人は曖昧な笑いで濁した。 

 「帝人・・・っ!」 

 再度帝人の手を掴もうとした静雄の前に、罪歌が突きつけられる。きっさきを喉もとにつきつけられ、さすがの静雄も簡単には動けない。 

 帝人の手が、自分の顎にかかる。べりっという音と共に、薄い皮膚がはがれその下から帝人本来の顔が現れた。マスクのものよりも、ずっと幼い顔が。 

 「ごめんなさい、静雄さん。迎えがきたんで僕行きますね」 

 そして、帝人の言葉を共に、ドンという鈍い爆発音と共に外に続く扉が開いた。 

 「どーもぉーっ!迎えでぇーすっ!」 

 煙の上がったドアの向こう。まるで宅急便の配達のような明るい声と共に、茶色の若い男が静雄にむかって笑顔と共に軽く手を上げた。 

 手には小型のバズーカー。そして、赤い車に身を乗り出すようにしながら。 

 「はた、派手な登場だね、正臣」 

 呆れた視線を向けられた正臣の首には、しっかりと輝くネックレスが下がっている。それは確かに、今日の目玉であり怪盗が予告状を出していたもので。それを静雄が指摘する前に、大広間から誰かの叫び声が上がった。 

 「クレオパトラの涙がないぞーっ!」 

 背後で上がった声と共に混乱が起きる。それに振り向いた一瞬が、命取りだった。 

 「じゃ、静雄さん」

 帝人の声にそちらを向けば、何時の間にか車に乗り込んでいた帝人と杏里は、静雄の手の届くところにはいない。やられた・・・っ!と思った頃には遅かった。

 臨也の姿も何時の間にかない。

 「僕は逃げますけど」

 そして帝人は、いつものせりふを静雄に向ける。静雄の好きな、きれいな笑顔と共に。

 「また、捕まえてくださいね」

  

 『捕まっている間は、僕は貴方のものなので』 

 

 静雄が1歩を踏み出した頃には、車は全速力で発進していた。

 「く・・・そぉ・・・」

 捕まえても捕まえても、自分のものにならない相手。 

 「ぜってー捕まえるぞ、帝人・・・っ!」 

 悪魔のような笑顔と残されたいつもの言葉に、静雄はまた今日もそう宣言するのだった。