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ふざけんなぁ!! 1

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1.発端





かつて私は、非日常がとても好きでした。
過去形になったことは……、察してください(号泣)

(とある日の、帝人の日記より)


★☆★☆★


小学校の時離れ離れになった幼馴染に誘われ、東京の、しかも池袋という賑やかな街に、高校進学の為にやってきたばかりの自分は、その日とても落ち込んでいた。

まず初め、待ち合わせた場所に、馬鹿臣は約束の時間になっても現れなかった。
携帯を鳴らしても繋がらず、三年ぶりに会えると、とても胸をときめかせていただけに、がっかりだった。

また約束破りやがった正臣が、紹介してくれると言っていた、ファーストフードのアルバイト面接の件はどうなっているんだろうと、そっちの伝手も不安になる。
仕方なく、地図を頼りに新居に向えば、しっかりと道に迷って辿り着けなくて。
今日中に荷解きを済ませておきたかった自分にとって、ロスタイムもいい所だ。


だって自分は、気楽に親元から通える高校生ではない。


なんせ親の反対を押し切ってまで、無理を通したのだ。
学費は払ってくれるけど、その他全ての生活費は、自分の手で稼ぐのが条件で、しかも水商売やヤバイバイトに手を染めたら最後、速攻で学校を辞め、田舎に帰郷すると念書まで書いて捺印してきた。

結果、無駄な出費は一切できないと、家賃はギリギリまで切り詰めたし。
なのでまるで昭和時代にタイムスリップしたかのような、土壁の二階建てボロアパートが自分の新居で。
自分なりに納得していた筈だった。
どんなボロ屋でも、住めば都になるのだと。


だが、今自分がへろへろになって、ようやく探し当てた棲家になる筈だった家は、惨い事に倒壊し、ただの瓦礫となっている。
別に、ここに局地的地震が起こった訳でも、火事になった訳でもなく。

それが、何故かバーテン服を着てるくせに、職業が【取り立て屋さん】という変わった人が、帝人の隣室に住んでいた人に対し、とても熱心にレンタルDVD……しかもたった一枚の回収作業に勤しんだ結果なんて。


「…………」
「……あのなぁ……、お嬢ちゃん……、ほんと俺……、悪かった……」


青いサングラスをかけたまま、挙動不審なぐらいおたつきだしてる背の高すぎるバーテン野郎が、こっちを見下ろしながら、手振りを交えて何か、もごもご言ってるが知るか。

ささやかすぎた彼女の引越し荷物は、紐解かれる間もなく、ぺしゃんこに潰れてしまった。
特に小学校の時から大切に使っていたパソコンと、来良学園の新品の制服……まだ一回も袖を通してなかったのに……、の二つに関しては、思い入れがありまくりだっただけに、マジで失ったのが悲しくて。


それにこれからどうすればいい?
家賃月二万で住める破格な場所が、直ぐに見つかるだろうか?
敷金礼金の類は、もう絶対返ってこないだろう。
手持ちは財布の中に二万、それから貯金通帳の中にある十五万が、今の自分の全財産である。


涙が溢れてくる。
へなへなと地面に崩れ落ちたまま、唇を噛み締めて堪えていたのに、嗚咽が勝手にこぼれていき、止まらない。


「すまねぇ!! 責任は取る!! 俺が全面的に悪かった、だから泣かないでくれぇぇぇぇぇ!!」



そう言って、泣きじゃくる自分を小脇に抱え、自宅にお持ち帰りをしたこの人が、『池袋最強』とか『自動喧嘩人形』とか呼ばれている、この街に住むのなら、決して敵に回してはいけない人だったなんて……。


知ったのは、正臣と入学式の日に、学校で無事に再会を果たした時で。
【平和島静雄】さんと暮らし始めて、一週間が経過した後だった。



作品名:ふざけんなぁ!! 1 作家名:みかる