ふざけんなぁ!! 1
《正臣、まさおみぃぃぃぃぃ》と、あんなに大声で、兄に助けを求めるなんて。
「……その原因が俺、……変態……、って……。何でだよぉぉぉぉぉぉ………」
帝人に嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた嫌われた。
何故なんだ何故なんだ何故なんだ何故なんだ何故なんだぁぁぁぁぁぁ。
「……さっきまで、飯食ってる時までは、俺達めちゃめちゃ幸せだったのに………」
ぐるぐると考える。
どうして自分は裸で飛び出す破目になった?
どうして帝人が大泣きしてたんだ?
そもそもの始まりは、帝人が急に自分の家を出ると、言いやがったからじゃねーか。
でも何故?
突然すぎる。
彼女はどうしてそんな事を言い出したのだ?
両手で頭をがっと握り締めた。
自分は馬鹿だ、頭が良くない自信だけはたっぷりある。
それでも、今日の事ぐらいはまだ覚えている筈だ。
《……何でもその方、新宿のとある情報屋さんをやってて、その事務兼家政婦を募集しているんですって……》
ぽくぽくとのんびりとした、帝人の明るく無邪気で残酷な一言が、脳裏にふっと横切った。
「はははははははははははははははははははははははははは、あはははははははははははははははははははは ! !」
ホントに自分は馬鹿だ。
寝転がったまま、腹を抱えて笑いまくった。
そうだったそうだった。
考えなくたって、不幸の元凶はいつも同じじゃねーか。
ノミ蟲だ。
笑いすぎて、目じりに涙がじわりと溜まってきやがった。
あいつは自分から平穏な高校時代を奪い、就職先を奪い、冤罪を擦り付けて犯罪者に仕立て上げて、いつも不幸のどん底に突き落としやがるのだ。
よくもよくもよくも、生まれて初めて掴んだこの幸せまで、ぶっ壊しやがりやがって。
許せねぇし、許さねぇ。
「………殺す………、殺す殺す殺す殺す………、いざやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
池袋の夜闇の中、涙を流しながら、金色の野獣が咆哮した。
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作品名:ふざけんなぁ!! 1 作家名:みかる